◎文化園四季折々
井の頭自然文化園の分園では、ガンカモ類を中心にたくさんの水鳥類を飼育していますが、見落としがちなのが、吉祥寺通り側の中門から入ってすぐ右手の水路です。2007年2月28日、ここにシジュウカラガン4羽がデビューしました。雌雄2羽ずつですが、ガンのなかまは雌雄ほとんど同じ色なので、外見で見分けるのはむずかしいでしょう。
さて、ここの水路にはもともとコハクチョウが飼われていました。ただ、枝が多くて見えにくかったり、夏場は藻が発生して水が汚れたり、あまりよい環境ではありませんでした。そこで、昨年1年かけて枝を落としたり、水質浄化を進めたりして、今ではだいぶ見やすくなってきたと思います。
シジュウカラガンをこの水路に放した際、「先住者」であるコハクチョウは激しく威嚇して4羽を追い回しました。最近かなり落ち着きましたが、まだコハクチョウのほうが強いようで、たいていコハクチョウが水面、シジュウカラガンが陸上と、生活エリアを分けて利用しています。コハクチョウが餌を食べgるために陸に上がってくると、今も微妙な緊張関係が見られます。
なお、いっしょにいるオナガガモやオシドリは園で飼育している鳥ではなく、餌を求めて勝手に入ってくる野鳥です(オシドリは、以前に園で放鳥して野生化したもの)。渡りの時期が近くなり、オナガガモはかなり減ってきました。このほかカラスも餌を狙って入ってきます。小さな鳥だとカラスに襲われてしまう危険もありますが、ガンやハクチョウくらい大きければ大丈夫で、さらにシジュウカラガンはいつも4羽で行動をともにしているため、襲われる心配はないでしょう。
ここの水路では、餌としてペレット(固形飼料)、小松菜、キャベツなどを与えています。ペレットだけでは栄養過多になるので、なるべく野菜を与えるようにしています。最近は小松菜が高いので、キャベツがメニューの中心ですが、農作物の価格はこんなところまで影響してます。以前は餌の時間を決めていたので、その時間になるとオナガガモやカラスが集まってきました。このため最近ではわざと給餌時間を決めずにいますが、カラスはキャベツには目もくれず、ペレットだけをねらっているようです。
〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 石川不二夫〕
写真上:シジュウカラガン
写真中:微妙な緊張関係
写真下:ペレットを狙うカラスたち
(2007年3月9日)
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