◎文化園四季折々
小学生を対象に自然観察を楽しむ「文化園いきものクラブ」。2007年2月は「冬のバードウォッチング」でした。このプログラムはいろいろな鳥があらわれてくれるかどうかが成功のカギですが、昨年(2006年)は思うように鳥が見つからなかった悔しい思い出があります。
その反省を踏まえ、今年は事前調査に加え、前日の同じ時間帯に下見をしました。鳥たちはあまり居場所を変えないので、本番でも高い確率で同じ個体を見つけられるはずです。その結果はすばらしいものでした。資料館裏では、ふだんあまり見られないカケスが独特の声で叫んでいました。翼のきれいな青い模様は、子どもたち目にくっきりと映るでしょう。すぐ隣ではアオゲラが木の幹を移動しています。最初のポイントでのつかみは万全です。
アトリエ館前の茂みでは、アカハラとシロハラが紅白そろいぶみであらわれ、隣の園路ではツグミが走りました。彫刻館の先にある日本庭園は、今年の目玉であるウソのポイントです。予定通りの場所でオス3羽とメス1羽の群れに、シメも1羽加わって地面でエサをついばんでいました。
リスの小径横では小鳥の混群が通りかかり、シジュウカラ、ヤマガラ、メジロを一気にクリア。動物やお客さんが多い本園北側のエリアへ進んでも発見は続き、アオゲラに続いてアカゲラが飛び去っていきました。私が文化園でアカゲラを見たのはこれが初めてです。
やかましいオナガの声を聞いて、最後は調理場周辺です。ここにはメスのジョウビタキがなわばりを張っていて、案の定、自転車のハンドルに止まってあたりをうかがっていました。予想以上に鳥は多く、ワカケホンセイインコなど、外来種を含めると計21種が見つかり、翌日への期待がふくらみます。
さて、翌日の本番です。どんよりとした曇り空で、下から見る鳥たちはシルエットしかわかりません。鳥を探しにくい条件ですが、昨日の結果を信じて、余裕で予定ポイントをめぐりはじめました。しかし、自信はしだいに不安に変わり、予定した鳥がさっぱりとあらわれてくれません。途中から、見つけてほしい鳥を指定して、参加者全員の目で探しましたが、成果が上がらないまま、とうとう最後のジョウビタキポイントまで来てしまったのです。
結果は11種にとどまりました。唯一の収穫は、展示されたオナガがやかましく鳴いていて、その声を聞いた小学生が防犯ブザーと同じ音であることを発見し、全員で笑ったことくらいかもしれません。
〔井の頭自然文化園動物解説員 馬島洋〕
写真上:シジュウカラ
写真下:アオゲラ
(2007年2月16日)
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