井の頭自然文化園ではニホンノウサギを1頭飼育しています。
“ニホンノウサギ”は、昔から日本に生息している固有種です。その名の“日本野ウサギ”のとおり日本の野山にすみ、単独で生活します。夜行性で、日中は木の根元や岩陰、草むらなどに潜みます。巣穴を掘らず、敵に襲われたときには時速およそ80kmものスピードで走って逃げます。そのため後ろ足が長くて力強く、また周囲に溶け込む茶色い毛色をしています。
さらに寒冷地にすむものは冬に毛の色が白く変わり雪の中で目立ちません。温暖な地域にすむものは冬でも茶色い毛のままです。また、その中間で部分的に白く変わるものもいます。
井の頭自然文化園で飼育している個体は動物園生まれで今年15歳になるメスです。もともと温暖な地域由来のため、毛の色変わりはなく、1年中茶色い毛をしています。

青草を食べるニホンノウサギ(2025年1月17日撮影)
ノウサギの寿命は野生で2〜5年、飼育下では10年ほどと言われていますので、たいへんな長生きです。おばあちゃんノウサギの生活は、住み慣れた運動場で好きな居場所を選び、マイペースにすごしています。とくに片隅にある小屋が安心するようで、日中はほとんどの時間をそこで休息しています。

日中よくすごしている小屋
じっとして気配がなくなると見つけられない来園者の方もしばしばいらっしゃいますが、早朝や夕方には運動場を歩き回りえさの青草やペレットを食べ、フン場所まで行って用をたすようすが見られます。そして、それを見られたときには「まだまだ元気だな」と飼育担当としてはうれしくなります。
目立たないかもしれないですが、おばあちゃんノウサギがくらしているようすを、ぜひそっと観察してみてください。また、暑さ寒さの厳しい季節には空調の効いた室内に移動させてすごしてもらうこともあります。その場合にはみなさまにはご覧いただけなくなってしまいますが、どうぞご了承ください。
〔井の頭自然文化園飼育展示係 松井〕
(2025年02月18日)