井の頭自然文化園では、環境省の依頼を受けて毎年1月に井の頭池に生息しているガンカモ類の生息調査をおこなっています。この調査は、定められた日に全国一斉におこなれわるため、通称「全国ガンカモ一斉調査」といいます。
ガンカモ類とは、ガン、カモ、ハクチョウのなかまの鳥のことで、日本で見られるものの多くは、ユーラシア大陸で繁殖し、冬になると日本へ渡ってきます。
調査の目的は、これらの渡来傾向や生息地の状況などを把握することです。
調査当日の2014年1月12日、天候には恵まれましたが、池のようすはいつもと違います。この冬におこなわれる井の頭池の「かいぼり」の準備のために、数日前に池の周囲にオレンジ色のシートが張られたのです。「かいぼり」とは、池の水を抜いて干す作業のことです。水抜き開始は調査後ですが、鳥たちがオレンジ色のシートを意識して、調査結果に影響が出るのではと気になりました。しかし、とくにふだんとは変わらないようで一安心しました。
調査は3つのグループに分かれ、弁天池、お茶の水池、ボート池にいる鳥たちを、双眼鏡を使って種ごとに数を数えていきました。
調査結果は、カルガモ54羽、オナガガモ28羽、キンクロハジロ28羽、ホシハジロ2羽、ハシビロガモ1羽、コガモ1羽、マルガモ(カルガモとマガモの交雑個体)1羽、合計カモのなかま115羽でした。2013年の結果と比べると、合計数が4割ほど増えましたが、増加分のほとんどはカルガモでした。ホシハジロ、ハシビロガモ、コガモ、マルガモは、昨年は見られなかったカモたちで、オシドリは、今年は見られませんでした。
今年の冬は「かいぼり」のため、1月下旬から3月上旬まで井の頭池を干すことになります。カモは徐々に姿を消していきますが、浅くなった池で魚などの餌が取りやすくなったサギのなかまが集まってくるのではと、その経過に注目しています。
写真上:ハシビロガモ
写真下:かいぼりのためのシートが張られた井の頭池
〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 金原功〕
(2014年01月24日)
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