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動物園の裏ワザ、高いところの枝を取るには
 └─2013/11/08

 深まりゆく秋の井の頭自然文化園で、ブルーの作業車に乗って樹上を熱心に見上げる二人組を見かけたら、それは施設係の農園芸チームです。

 来園者の方々の頭上には、枯枝や折れ枝が息をひそめていることがあります。それらをいち早く見抜き、取り除くためには日々の巡回観察が欠かせません。

 その作業にはさまざまな道具を使いますが、白眉といえるのがスーパーショットという柄の長い大型のパチンコです。これまで10メートルを超える高所の枯枝に対して既存の道具では対処しきれなかったため、落下が想定される箇所をカラーコーンで囲って来園者に危険が及ばないようにし、除去作業は業者に委託せざるをえませんでした。

 スーパーショットは、もともとはアメリカの樹上作業のプロが、高所にロープをかけて登るために開発した道具です。当園では枯枝取り機として導入したのですが、今まで手に負えなかった10メートル、20メートルといった高所の枯枝を、地上に居ながらにしてすばやく安全に取ることができるようになったのは画期的なことでした。

 長さ数十メートルの丈夫な糸に結束した小さな皮製のおもりを、太いチューブ状のゴムの力で打ち上げ、目的の枝にかけてから引っ張って折り取るという単純な方法ですが、当初はなかなか狙いが定まらず、近くでワクワクしながら見守っていた来園者の方々をがっかりさせてしまうこともあり、冷や汗ものでしたが、今では8割ほどの確率で狙った枝にかけられるくらいにまで腕を上げました。

 作業のようすを動画でごらんください(44秒)。
 ・Windows Media形式
 ・QuickTime形式

 黄色い大きなパチンコをかかえ、遥か樹上に狙いを定めているわれわれの姿を見かけたらいつでも遠慮なくお声をかけてください。動物園の植物屋の仕事に興味をもっていただき、枯枝取りがどのようにしておこなわれているのかをごらんいただけたら嬉しく思います。

写真:スーパーショットをもつ職員

〔井の頭自然文化園施設係 浜中和晴〕

(2013年11月08日)



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