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いきもの広場で遊ぼう[11]カエル合戦
 └─2013/03/08

 やっと春らしい陽気になってきました。啓蟄の翌日2013年3月6日に、井の頭自然文化園「いきもの広場」の池をのぞくと、予感どおりあのカエルがいました! アズマヒキガエルです。
 広場には、水深約30センチと60センチの二つの池がありますが、どちらにも7〜8匹のカエルの姿が見られました。また、浅い池にはうどんのような紐状の卵塊もありました。前日にはなかったので、3月5日の夜に産卵したのでしょう。

 「これはきっと暗くなってからカエル合戦が見られるはずだ」と、夕方に懐中電灯を手に広場に向かいました。池に近づくと「コッコッコッ」という鳴き声が聞こえてきます。アズマヒキガエルのオスがメスを呼んでいるのです。姿に似合わず小さく上品な、まるで咳払いのような声です。
 そして、池のなかには昼間よりもずっとたくさんのカエルがいました! ほとんどはオスですが、なかにはオスがメスをかかえてペアになっているものもいます。合戦まではいきませんが、複数のオスがメスの背中に乗ろうと小競り合いをしているようすも観察されました。

 池のなかだけではなく、まわりにもたくさんのカエルがいて、懐中電灯で探しながら数えてみると40匹も見つかりました! 池の中の個体もあわせると80匹はいそうです。ほとんどがオスで、指の抱きダコがしっかりと発達しています。2匹のオスが大きなメスにしがみつき、3匹とも動くに動けないという光景も観察できました。
 暗い動物園の片隅で、こんなに熱い営みが静かに繰り広げられているなんて、なんだか不思議ですね。
 残念ながらアズマヒキガエルの産卵は長くは続きませんが、もしかして3月10日(日)11時からの「いきもの広場で遊ぼう」では、池に残っているカエルの姿が見られるかもしれません。少なくともうどん状の卵塊はごらんいただけます。

写真上:小競り合いをしているオスのカエル
写真中:指の抱きダコ
写真下:メス1匹とオス2匹で動くに動けず

〔井の頭自然文化園教育普及係 天野未知〕

(2013年03月08日)



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