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いきもの広場で遊ぼう[10]カメノコテントウ
 └─2013/02/15

 2013年2月10日、井の頭自然文化園いきもの広場の開放日に嬉しい発見がありました。

 樹木に取り付けた「観察シート」をめくると、日本で一番大きくて見ごたえのあるテントウムシ「カメノコテントウ」が越冬していたのです。

 広場では、呼びたい昆虫の食草となる木を選んで植えています。たとえば、アケビはアケビコノハ、クチナシはオオスカシバ、エゴノキはエゴヒゲナガゾウムシを呼ぶため、といった具合です。

 じつは、カメノコテントウを呼ぶための木も植えているのですが、これまで広場では確認されていませんでした。カメノコテントウは幼虫も成虫も、クルミの葉を食草とするクルミハムシの幼虫を餌にします。クルミハムシが広場に来れば、それを求めてカメノコテントウもやって来るだろうとクルミの木を植えたのですが、クルミハムシもまだ見つかっていませんでした。

 しかし、園内の「リスの小径」裏には大きなオニグルミの木があり、これまでにカメノコテントウの観察記録もありました。今回見つけたのはおそらく、この木で育った個体で、冬越しのために広場の「観察シート」にやって来たのでしょう。「観察シート」は、テントウムシだけでなく、クヌギカメムシの卵や、カニグモ、エサキモンキツノカメムシなど、樹皮の間で越冬する生き物が見つけやすくなる便利なしかけなのです。

 冬の生き物探しは一見地味ですが、寒さで生き物たちの動きが緩慢だったり、卵や蛹の動かない姿だったりするので、小さな子どもたちでもじっくり観察できる利点があります。

 立春を過ぎましたが、まだまだ寒い日が続きます。いきもの広場では、もうしばらくの間、冬越しする生き物たちの姿を楽しめることでしょう。

写真上:カメノコテントウ
写真中:観察シート
写真下:冬のいきもの広場

〔井の頭自然文化園教育普及係 高松美香子〕

(2013年02月15日)



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