「アオスジアゲハ」は名前のとおり、青い帯が美しいアゲハチョウ科のチョウです。幼虫は、街路樹や神社などに多く植えられているクスノキを食草とするため、街中でもわりとよく見られます。
2012年10月末、井の頭自然文化園「いきもの広場」のクスノキで、夏以来ひさびさにアオスジアゲハの幼虫を見つけました。幼虫は正面から見ると、ずんぐりしていてひょうきんな顔つき?をしています。つい顔と言ってしまいたくなる部分は、実際は幼虫の胸部です。この姿を見るといつも、ほのぼのした気持ちになって和んでしまいますが、クスノキの葉でじっとしている幼虫は、しっかりと葉に溶け込んでいて、みごとな擬態ぶりです。
チョウのなかまは、種類によって、卵、幼虫、蛹、成虫と、さまざまな姿で冬を越しますが、アオスジアゲハは、蛹で越冬します。蛹になると葉脈に似た筋が入った、本当に葉の一部のような姿になります。
越冬蛹になるかどうかは、日照時間の長さに左右されるようです。日照時間が短くなるこの時期の幼虫は、おそらく越冬蛹になり、来年の春羽化するでしょう。それまでは、いきもの広場で冬越しする姿を静かに見守りたいと思います。
いきもの広場は冬の間も隔週でオープンします。ぜひ、冬越しするいきものたちを見に来てください。
※「いきもの広場」のオープンは、2012年12月からは、第2・3・5日曜日の11時〜正午です。
写真上:アオスジアゲハの幼虫
写真下:シロダモの木で蛹になったアオスジアゲハ
〔井の頭自然文化園教育普及係 高松美香子〕
(2012年11月09日)
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