実りの秋、食欲の秋ですが、井の頭自然文化園でもニホンリスたちが冬に向けてせっせと貯食を始めています。
ニホンリスは冬眠をしない動物です。植物や昆虫などの餌がほとんどなくなってしまう冬を乗り切るため、実りの多い秋の間に餌を集め、地面に埋めたり木の又に挟んだりして隠します。しかし、ひとつひとつ場所を変えて隠すため、時にはどこに隠したか忘れてしまうこともあるようです。
飼育しているリスたちには冬の間も餌を与えるので貯食の必要はありませんが、当園のリスたちも本能的にクルミを埋めて隠します。しかし、クルミはリスたちの大好物なので、埋められているのがわかっているリスたちは、穴を掘り返してはすぐに食べてしまいます。そのためまったく貯食はできていません。計画性がありませんね。
貯食のシーズンは冬に向けて体に脂肪を蓄える時期でもあるので、1年の中でリスの行動がもっとも活発になる時期でもあります。餌を探して、来園者の体をよじ登ったり鞄の中を捜しまわったり……。忙しく動き回るリスがうっかり咬んでしまうこともあるので、来園される方は十分ご注意ください。
〔井の頭自然文化園飼育展示係 山口慶〕
(2012年10月19日)
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