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クロヅルが来園しました
 └─2012/03/16

 井の頭自然文化園水生物園(分園)では、メスのクロヅル1羽を長年飼育しています。名前は「イチコ」といい、あまり知られていませんが、当園ではアジアゾウの「はな子」次ぐ長寿の動物で、推定53歳以上になります。左目は白内障、くちばしはかみ合わせが悪くなるなど老いが顕著に現れていますが、隣で飼育しているナベヅルと大きい声で鳴き交わすなど、まだまだ元気です。

 しかし、「イチコ」は高齢のため、若い個体を探していたところ、名古屋の東山動植物園より、2011年に生まれたまだ1歳にもならない個体をいただきくことになり、今回の展示になりました。

 輸送箱を一から製作して準備を進め、2012年2月20日にクロヅルはトラックに乗せられ来園しました。ただ、すぐにお披露目というわけにはいきません。園の外から来た動物には「検疫」といって、伝染病の病原体などをもっていないか検査をします。このクロヅルも検疫のため、いったん非公開の予備舎に入れることになりました。

 東山では搬出する当日朝まで親鳥と一緒にいたということで、来園した直後は心細いのかちょっとした物音で驚いて飛び立ったり、餌もほとんど食べないので心配しました。しかし、1週間もすると餌も食べ、ちょっとした音などにも動じなくなり、慣れてきたようすが見て取れるようになりました。

 約2週間の検疫期間が終わり、展示場の整備が終了した3月14日にようやくみなさんにお披露目することができました。場所はカモ南舎の真ん中の展示場です。

 展示場に入れた当初は、隣のマガモを気にして行ったり来たりしていましたが、そのうち興味を示さなくなり、餌をついばむ姿などが見られました。

 イチコと比べると、さすがに若い個体なので動きもきびきびしている気がします。まだ鳴き声を聞いていないのですが、鳴くようになったら、少し離れているイチコやナベヅルと鳴き交わす姿を見ていただけるかも知れません。

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 川手美咲〕

(2012年03月16日)



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