この時期の衣替えといえば、夏服から秋冬服への移し替えです。まだまだ暑い日が続いているため、半袖は手放せそうにありませんが、井の頭自然文化園分園で飼育しているカモたちは、衣替えが進んでいます。
といっても私たち人間のように服を着るわけではありません。「換羽」といって羽が生え変わります。メスは、夏羽と冬羽でほとんど模様に変化はありませんが、オスはかなり大きく、色彩やデザインが変わる種がいます。
その中でも一際目立つのがオシドリです。よく図鑑で見かけるオシドリのオスは全身の羽がとてもカラフルで、とくに橙色の扇状の羽はイチョウの葉の形に似ていることから「銀杏羽」と呼ばれています。これは季節限定で繁殖期のみに見られ、それ以外の時期はメスのような灰褐色の地味な羽色をしています。
展示場のオスたちはついこの間まで、地味な羽色をしていましたが、9月上旬から徐々にカラフルな羽が生えてきました。
そのほかマガモのオスは、頭から頸にかけて艶やかな深緑色に変わってきました。この深緑色は角度によっては群青色にも見えます。頸と胸の境には白い輪もあらわれ、胸は褐色で、オシドリのオスほどではありませんが、目立つ体色になります。
換羽は種によっても個体によっても時期に差がありますが、11月までにはほぼ終わり、メスよりもカラフルなオスのカモたちが多くなります。ぜひその姿を見にご来園ください。
写真上:オシドリの(左)カラフルな羽に衣替えしたオスと(右)まだ地味な羽色のオス
写真下:マガモの(左)深緑色の羽のオスと(右)換羽中のオス
〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 川手美咲〕
(2011年09月23日)
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