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ハタネズミのトンネル展示
 └─2011/06/03

 井の頭自然文化園資料館で開催中の特設展示「ちゅう げっ歯類展」では、私たちの身近でくらすカヤネズミやハタネズミなど「野ねずみ」たちの展示をおこなっています。その中で、今回はハタネズミの展示を紹介しましょう。

 野生のハタネズミは地中に深さ40~50センチの穴を掘って生活しています。そのトンネル生活を見ていただけるよう、大きなガラス水槽の中央に箱を設置し、箱とガラスの間に隙間ができるようにしました。そしてその隙間に、土の代わりにコケをぎっしりと入れました。このコケをうまく掘ってトンネルにしてくれれば、という計画でした。

 特設展示オープン当初は、3頭のハタネズミを入れ、どのような行動をするかようすを見ていました。すると、コケを堀り、そのトンネルの中で休む場所と、食べ物を蓄える場所を決めて過ごしているようでした。しかし、コケを入れている隙間の幅が広すぎたのか、ハタネズミがコケで隠れてしまい、なかなかガラス越しにネズミを観察できませんでした。

 そこで先日を展示ケースの改良し、コケを入れる幅を少し狭めました。ハタネズミも3頭ではなく、13頭の大家族を入れました。この大家族は裏の予備室で2011年3月末に同居させたペアが順調に繁殖しできた群れです。

 ハタネズミの妊娠期間は約21日間で、1回の出産で2~4頭出産します。3月末から3回出産した母ネズミはひときわ大きい体つきをしており、子ネズミたちは親ネズミよりも色が黒々していて小柄なので、見分けがつくと思います。子ネズミたちは誕生日が違うため、大きさがさまざまです。

 展示改良後、ハタネズミがトンネル内で団子状になって休む姿が見られるようになりました。また展示ケースの上部には、生息地を再現するために生きたササを飾っているのですが、子ネズミたちは一日でこのササをかじってボロボロにしてしまいます。

 こんなふうに、3頭飼育していたときよりも活発な動きが見られるようになりました。にぎやかなハタネズミ一家にぜひ会いに来てください。

写真上:隙間を狭くしそこにコケを入れるように改良した箱
写真中:コケを入れた展示
写真下:ササをかじるハタネズミ

〔井の頭自然文化園飼育展示係 高橋美紀〕

(2011年06月03日)



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