井の頭自然文化園水生物館で展示しているイモリが2011年3月初めごろから産卵しています。
イモリの繁殖期はふつう春から初夏にかけて数か月は続きます。
この時期、イモリのオスの尾には、ちょっとした変化が見られます。尾の部分が鮮やかな青白い色に変化し、うっすら白と黒の縞もようが見えるようになります。そしてオスはメスのあとを付けまわし、メスが立ち止まるとその前にまわってS字に曲げた尾を一生懸命震わせるのです。
イモリのこうした行動は水槽のあちこちで見られ、あるところでは複数のオスがメスを追いまわしています。
メスはというと、オスを気にもとめずに好き勝手に動き回ります。まるで、人間の社会を見ているようでオスにエールを送りたくなります。
メスに気に入られたオスは、精子の入ったカプセルをメスに渡し、メスはこの精子を使って卵を受精させます。イモリのメスは、一粒ずつ卵を後ろ足で水草に包み込むように産みつけていきます。
水槽内の水草をよく見てみると、産みつけられた卵を見つけることができます。じっくり観察していると、産卵の瞬間が見られるかもしれません。イモリの産卵は6月頃まで続きます。
写真上:オスの尾の婚姻色
写真下:産卵の瞬間
〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係
(現葛西臨海水族園飼育展示係) 中村浩司〕
(2011年04月08日)
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