寒い冬、昆虫たちはどこへいってしまうのでしょう? 暖かい季節にさまざまな場所で活動していた昆虫たちは、完全にいなくなってしまったわけではありません。卵や幼虫、成虫とそれぞれの生活史に合った方法で冬を過ごし、暖かい春が来るのを待っているのです。
2010年も好評だった「冬の虫」コーナーが2011年もはじまりました。正門先広場のちいさなスペースですが、園内で見つけた昆虫ばかりを全部で15種ほど集めた中身の濃い展示です。
背中の白いハートマークが印象的なエサキモンキツノカメムシや、井の頭近辺でも身近に見られるコクワガタ、集団で越冬することで知られるナミテントウなど、樹皮のあいだや落ち葉の裏などにもぐり込み、成虫で越冬する昆虫もじっくり見てもらえるように、今回は、標本の展示を増やしました。
水のなかで静かに越冬している昆虫はクロスジギンヤンマのヤゴです。スイスイと空を飛ぶトンボは、幼虫時代を水中で過ごします。よく見ると、大きな複眼やはねになる部分など、いかにもトンボらしい特徴が観察できます。
土のなかで春を待つのはカブトムシの幼虫です。もともとこのコーナーは、2009年に園内で大繁殖したカブトムシを「せっかくだから展示しよう」ということからつくられました。この冬も、園内で集めた落ち葉の堆肥場から、おびただしい数の幼虫がゴロゴロと見つかりました。このまま無事に育ってくれれば、初夏には立派に成長した文化園産のカブトムシをみなさんにお見せできることでしょう。
それまではしばし、この季節だからこそ見られる冬越しをする昆虫たちのさまざまな姿をお楽しみください。
写真1:「冬の虫」コーナー
写真2:エサキモンキツノカメムシ(標本)
写真3:クロスジギンヤンマのヤゴ
写真4:ハラビロカマキリの卵
〔井の頭自然文化園管理係 高松美香子〕
(2011年01月07日)
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