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コジュケイ対ヒバリの戦い?
 └─2010/06/11

 井の頭自然文化園では今年(2010年)も「野鳥の森」で5月24日にコジュケイが孵化しました。当初、メス親は8個の卵を産み温めていましたが、そのうち受精していた卵が5個、1個はつつかれたような傷がついていて中止卵、残る4個のうち1個は孵化途中でひなが出てこられずに死んでしまい、3羽が無事にヒヨコになりました。孵化した日は雨と寒さもあって母親の羽の下で休んでいましたが、2日目からは親の後ろをどこまでもついて歩いています。

 ところで、メスが熱心に抱卵している間、オスのほうはキーパーが鳥舎内に入って作業をするたびに、追い払おうと足にアタックしたり大きな声で鳴いたりしていました。が、もう1羽熱くなっている鳥がいました。ヒバリです。

 野鳥の森にいるヒバリは1羽だけなのですが、繁殖期にコジュケイと同じ地上に巣を構える習性のためか、抱卵しているコジュケイのメスの正面で、ずっとメスをにらんでいたのです。ときには近寄って威嚇のような動きをしては追い払われたりしていました。明らかではありませんが、中止卵についていた傷はヒバリのくちばしが当たったものではないかと思っています。

 コジュケイの孵化後、ヒバリは相変わらずコジュケイファミリーのまわりにいて、なんとひなをくわえて飛び、15センチメートルほどの高さから落とすところを何度か目撃しました。幸いひなのほうは落とされた後にすぐ親の元に走って逃げ無事だったのですが、見ていてなんともしつこいなあと思いました。

 いつまでこの戦いが続くかと思われましたが、ひなが1週間ほど育ったあたりで、どうやら重くなったひなをくわえて飛ぶことができなくなったらしく、この行動は見られなくなりました。

 その後、3羽のコジュケイのひなは順調に育っています。とても小さく、姿が愛らしいのでお客さんの人気者となっています。そこがヒバリの気に障ったのでしょうか?

〔井の頭自然文化園飼育展示係 永田典子〕

(2010年06月11日)



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