井の頭自然文化園の「リスの小径」では、この春生まれの子リスが巣から出てくるようになりました。
大人よりひとまわりほど小さい子リスが餌を食べに巣から出てくるようになり、ときどきそのかわいらしい姿を見ることができます。まだあまり早く走れないのか、ちょっとヨチヨチしているようにも見えますが、大人と同じ餌を食べられるようになったのです。生後2か月ぐらいといったところでしょうか。
先日の休園日の出来事です。小径の中をリスの様子を観察しながら掃除しているときのこと、何かが落ちた音がしたのでその方向を見てみたところ、小さなリスが見えました。どうも上にある巣から子リスが落ちてしまったようです。落ちたショックからか、地を這うようにして動けないでいます。「怪我をしてしまったか?」と思いましたが、上の巣からは親らしいリスが顔を出していますので、迎えに降りてくるかもしれないと、しばらく様子を見ることにしました。すると今度は落ちた子リスよりも少し大きな子リスが2頭、その巣から出て屋根の上に登って遊んでいます。
以前担当していた同僚に聞いたところ、ときおり2頭の母親が同じ巣を使うことがあって、サイズの違う子がひとつの巣の中にいることがあるそうです。今回もそのようで、外に出られるようになった大きな子に小さな子が押されて落ちてしまったのかもしれません。しばらくすると、思ったよりもしっかり歩き出し、フェンス沿いに移動して草の陰に入りました。子が「チチッ」と鳴くとすぐに母リスがスルスル降りてきて、子のいるところへ一直線に走っていきます。次に見えたときには、ボール状に丸まった子をしっかりくわえて走っていきました。無事巣に戻ったところを確認して、また掃除に戻りました。
みなさんも「リスの小径」に来たときにゆっくり観察をしてみてはいかがでしょうか? こんな出来事を目撃できるかもしれません。
写真上 巣箱の中の子リス(生後10日)
写真下 巣箱の外に出てきた子リス(生後約2か月)
〔井の頭自然文化園飼育展示係 永田典子〕
(2010年04月30日)
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