かつての井の頭池は、豊富な湧水に支えられ、清澄な水をたたえ、水草が一面に繁茂し、多種多様な動植物が見られた、すばらしい光景の池でした。
残念ながら現在の姿にはその面影を見いだすことはできません。湧水の涸渇と水生植物の衰退が変貌の大きな要因だと思われます。いまの池に水生植物はほとんどありませんが、池の周囲はほぼ護岸されていて、水際に浅瀬がないため、水生植物がこれ以上増える余地はありません。
井の頭自然文化園では、現在おこなっている特設展示「
井の頭池のためにできること」に合わせて、2009年12月15日~16日、水生物館のテラス前にある井の頭池の岸に、わずか4メートル幅ですが「浅瀬」を造成しました。今は植物も生えておらず、さえない状態に見えるかもしれません。でも、初夏になれば、単調な岸辺に変化が感じられるはずです。
今回は、井の頭池で近年急速に減ってきてしまったテナガエビやスジエビの生息場所の確保を念頭におき、大きな割り石で土台を作りました。
わずか幅4メートルの浅瀬で池が変わることはありません。少しずつでも浅瀬を増やしていくことが「井の頭池のためにできること」だと思っています。
※特設展示「井の頭池のためにできること」は、
2010年2月7日(日)まで開催しています。
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おしらせはこちら)。
〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 荒井寛〕
(2009年12月17日)