井の頭自然文化園の分園は井の頭恩賜公園の池に取り囲まれています。冬にはカモのなかまがたくさん来ていましたが、今ではカルガモしか見られません。でも、よく探してみると、井の頭自然文化園が放鳥したオシドリがまだいるのです。
野生のオシドリは、冬になると東京にも飛んできて、神宮外苑の池や新宿御苑の池で冬を越します、そして、春になると山地の湖や川に帰るといわれています。
しかし、井の頭自然文化園で毎年春先に放鳥しているオシドリの中には、すぐには移動せず、夏も井の頭池ですごしている個体がいます。しかし、気づかれることはありません。なぜかといえば:
1.オスのオシドリは繁殖期にはきれいな羽をしているが、
夏になると羽が抜けかわって地味な模様になってしまい、
鳥に詳しい人でないとオシドリとはわからない
2.カルガモとちがい、人がいるところに寄ってこない
3.もともと山地に住むせいか、木陰など人目につきにくい
場所を好む
4.見る側が「こんな季節にオシドリが公園の池になんか
いるわけがない」と思い込んでいる
──などの理由が考えられます。ぜひ、井の頭池の岸辺を歩いて探してみてください。上記3に書いたとおり、池の水面におおいかぶさった木の枝のあたりがオシドリのお気に入りの場所です。
自然の中に放された鳥ですから、かならず公園にいると保証はできませんが、かなりの確率で見つかるでしょう。
写真上:弁天池で泳ぐオス(2009年8月2日撮影)
写真中:御茶ノ水池の水質浄化施設(アメンボ島)で
休むメス(2009年8月2日撮影)
写真下:木陰で休むペア(2009年8月11日撮影)
〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 浅井ミノル〕
(2009年08月14日)
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