井の頭自然文化園の「野鳥の森」5号舎では、12種20羽の日本の鳥を飼育しており、ガラス越しに目の前で野鳥を観察することができます。この野鳥の森で2009年7月13日、コジュケイのひなが孵化しました。
6月末のある日、観覧通路にいちばん近いガラスの近くでメスが産卵しているのを見つけました。観覧通路から見て奥の方は、飼育担当者が入って来てえさをまいたりするので、ガラスに近い場所の方が落ち着けるのかもしれません。
産卵が見られるようになってから、オスによる威嚇行動がさかんになり、人が部屋に入ると「チョットコイ!!」と激しく鳴いたり、小さい体で体あたりしてくるようになりました(コジュケイは「チョットコイ」と聞こえる鳴き方することで知られています)。それから1週間後、あわせて5つになった卵をメスが温め始めました。
コジュケイが卵を温めて始めてから孵化するまでの期間はおよそ18日。この間、メスはガラス越しにお客さんに見られていても、「気づかれていないつもり」でじっと動きません。そのため、ガラスがなければ触れるような至近距離にコジュケイがいるのに、その存在に気づかない方もいらしゃったようです。
孵化して1週間が経ち、ひなは親鳥のあとをついて長い時間動き回るようになりました。1週間といっても、まだ大きさは女性の親指くらい。野鳥の森のガラスの前にはカメラを持ったお客さんが多く見られるようになりましたが、小さいひなは、写真を撮るのがむずかしいほど、ちょこまかとすばやく動き回っています。
柔らかい羽毛に包まれて、今がいちばんかわいいい盛り。井の頭自然文化園の「野鳥の森」で、コジュケイのひなをぜひごらんください。
・過去のニュース「
『リスの小径』のコジュケイ」
〔井の頭自然文化園飼育展示係 水谷京子〕
(2009年07月24日)