井の頭自然文化園では毎年1月、越冬のために井の頭池に来る野生の水鳥の数をカウントしています。手元の記録によれば1966年以来継続しています。今年(2009年)も1月13日朝に実施しました。飼育係職員が4班に分かれ、井の頭池のまわりを歩いて、カモをはじめとする水辺の鳥を探して記録しました。この結果は、
こちらの表のとおりです。
カモのなかまの総数は、40年以上の記録の中でもっとも少ない225羽でした。
井の頭池では2007年3月から、公園管理者である「西部公園事務所」、市民団体「井の頭かんさつ会」と「東京吉祥寺ライオンズクラブ」が中心となって、「エサをやらないで」キャンペーンが始まり、鳥に餌を与えないよう呼びかける立札も設置されています。
このお願いが功を奏し、私が見ている範囲でも、鳥に餌を与える人は少なくなっています。カモのなかまの飛来数が少ないというと、この「エサやり防止キャンペーン」が原因だとか、「地球温暖化が原因でカモが渡りをしなくなったのですか」という声が聞かれますが、過去の記録を見ると、年によって飛来数の増減があり、カモ類観察総数が 200羽台だったこともあります。
また、この15年ほど、それまでほとんど見られなかったキンクロハジロ、ホシハジロ、ハシビロガモが増えています。一方で、以前は 500羽近くも見られたコガモが、この10年以上ほとんど記録されていません。40年のあいだに、池だけでなく、まわりの都市も大きく変化したはずです。
こうした調査記録は、ある程度長い年月にわたる水鳥の増減の傾向を知るために貴重な資料になりそうです。
〔井の頭自然文化園水生物館長 浅井ミノル〕
(2009年01月30日)