井の頭自然文化園の水生物館では、東京周辺でかつては見られた水辺の生き物を展示しています。水槽を見ながら、「昔はそこらにたくさんいたんだけどなぁ……」と嘆かれている、年配の来園者の方をよく見かけます。私は昔の東京近辺の水辺を直接見たことはありませんが、たしかに今よりもずっと多くの生き物が生息していたのです。
東京近辺のみならず、日本各地の水辺で生き物が減少し、水辺の生態系が大きく変化したことは、多くの方が少なからず実感していることでしょう。水辺がかかえる問題のほとんどは、私たち人間の影響によって引き起こされています。どのような問題によって、水辺の生き物のくらしは変化してしまったのでしょうか?
2007年7月28日から水生物館で開催する特設展「水辺も悩む社会問題──魚やカエルにも少子化やバリアフリー?」では、水辺の生き物が減少する原因となってしまった問題や、今後も影響を与えると予想される問題を、私たち人間が直面している少子化問題や、バリアフリーをめぐる問題、伝統文化の衰退なといった社会問題になぞらえて紹介します。
東京では見られなくなってしまったミヤコタナゴやムサシトミヨ、身近では見られなくなってしまったメダカやドジョウ、外国から持ち込まれて問題となっているカミツキガメやオオクチバス(ブラックバス)などの水辺の生き物も展示しています。
私たちがこれからの水辺環境を守っていくために、水辺の抱えている問題をより身近に感じ、より深刻な問題として考えていただければ幸いです。
〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 小木曽正造〕
◎特設展「水辺も悩む社会問題
──魚やカエルにも少子化やバリアフリー?」
会期 2007年7月28日(土)から
2007年9月30日(日)まで
会場 井の頭自然文化園分園 水生物館
◎特設展スペシャルガイドツアー「井の頭池の悩み」
かつて井の頭池やその周辺の水辺ではどんな生き物がすんでいたのでしょうか? そして、今はどんな生き物がくらしているのでしょうか? 水辺の生き物に起こった変化とその問題を、職員が展示生物を見ながら解説します。
日時 2007年7月28日(土)、8月13日(月)、
9月8日(土)
各日午後1時30分から約30分
集合場所 井の頭自然文化園分園 水生物館前
※写真はカミツキガメ
(2007年7月27日)
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