井の頭自然文化園では2011年7月16日(火)からクイズラリー「日本の動物と妖怪Part3」が始まりました。妖怪と動物の世界両方を楽しめるこのクイズラリーは、2009年と2010年の夏に開催し、今年でなんと3回目になります。
みなさんもご存知のように、妖怪にはタヌキやキツネ、カワウソなど、動物の姿をとるものが少なくありません。3回実施してもネタがつきないほど妖怪と動物の関わりは深いのです。姿だけではなく、「小豆洗い」や「こなきじじい」など、動物のたてる音や気配などから生まれたと思われる妖怪もいますから、妖怪に関係のない動物のほうが少ないかもしれません。このようすだと、あと何年も続けられそうです(笑)。
さて、3回目の今年のテーマは東北です。東北地方の各地域で言い伝えられてきた伝説の中から、秋田県の与次郎狐、宮城県の山猫、福島県の岩魚坊主など、10種類の伝説とそこに登場する動物を紹介しています。
不思議なのは、遠く離れた土地の伝説がとても似ている場合があることです。たとえば、イワナという魚が坊主に化けて釣り人や魚捕りに注意をするという話は、福島県のほかに岐阜県や東京都にもあります。共通しているのは、坊主に食べさせた物が、イワナのお腹から消化されずにそのまま出てくるというくだりです。これは餌の少ない環境でくらすイワナがとても悪食で、胃袋からカエルやヘビがそのまま出てくることに関係がありそうです。昔の人の鋭い観察眼と大きな魚に対する畏怖の念が、それぞれの土地で同じような妖怪を生んだのかもしれません。
そう考えると日本人の自然や動物を感じる心は、すむ場所が違っても同じだったのかと驚きを感じます。
さて今回の「妖怪ブック」も、妖怪造形家天野行雄さんによるすてきなイラストと動物園職員による解説からなる永久保存板です。中とじに豪華東北妖怪図鑑付き。ゴールした方にはペーパークラフト「す~るするお化け」を差し上げます。今年の夏も、井の頭で動物と妖怪の世界をのぞいてみましょう。
写真上:イワナの妖怪
写真中:妖怪ブック
写真下:ラリーのようす
〔井の頭自然文化園教育普及係 天野未知〕
(2011年07月29日)
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