大島では、今年(2006年)7月末の数日間、夏と思えないほど肌寒い曇り空が続きましたが、8月2日には、ひさしぶりに日射しが肌に痛いほどの快晴となりました。
この日の午後、サル島(園内にあるサル山)に珍客が飛来! 白くて長い首と、真っ赤な長い足が優雅な「セイタカシギ」です。最近は東京湾岸などで繁殖する個体もいるようですが、ふつうは春と秋に渡りの途中で日本の干潟などに立ち寄る旅鳥です。大海原を渡る長旅の途中、水田や干潟のない伊豆諸島で、サル島内の池がオアシスにうつったのでしょうか。
地形が急峻で、それほど水量が豊富ではないサル島内の池は、流れ込んだ泥が堆積し、水深も浅くなっています。景観的にもいまいちかなと、ついつい管理する人間の立場で考えていましたが、セイタカシギのような生き物にとってはメリットがあるのかもしれないな、と気づかされました。
このまま自然展示として長期間滞在してくれたら……という淡い期待は、翌朝の旅立ちとともにはかなく消えました。
〔大島公園動物園 田畑邦衛〕
(2006年8月4日)
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