2011年9月中旬、大島の山中でイズミヤマクワガタを探していたところ、サルトリイバラの裏にルリタテハの幼虫を見つけました。全身トゲトゲの姿はイラガの幼虫にそっくりですが、ルリタテハの幼虫はイラガの幼虫に擬態しているだけで、見た目は痛そうなトゲトゲは刺しもせず、痛くもありません。
全身トゲトゲの幼虫から蛹になり羽化していくようすを来園者に見てもらいたくて、食草のサルトリイバラと一緒に大島公園動物園にもち帰り、インフォメーションセンターで展示しました。
幼虫は朝夕に活発に活動し、昼間は葉の裏でじっと身を隠しています。一日あたり葉っぱ1枚を食べるペースで、日に日に成長していました。
ある朝、ルリタテハの幼虫は繭を抱えた姿になっていました。じつはルリタテハの幼虫の中にハチの幼虫が寄生していて、それが体外に現れたのです。繭が現れて5日後、体長約3ミリメートルのコマユバチのなかまが複数出てきました。繭を開けてみたところ、繭には約50の蛹室があり、それぞれ羽化寸前のハチが入っていました。
ルリタテハの羽化のようすを見てもらえず残念でしたが、代わりに寄生バチの生活史を伝えることができました。
写真上:ルリタテハの幼虫の腹を破って寄生バチの繭が現れる
写真中:繭の断面、蛹室はおよそ50ある
写真下:コマユバチのなかま
〔大島公園動物園 大賀幹夫〕
(2011年09月30日)
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