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サバンナの控えめな存在、シロオリックス
 └─多摩  2016/08/16

 多摩動物公園のアフリカ園にある通称「サバンナ」の展示では、広々とした放飼場にキリン、シマウマ、ペリカンとともにオリックスがくらしています。

 4~5種に分類されるオリックス類のうち、多摩動物公園で飼育しているのは、かつて北アフリカに広く生息していたシロオリックスです。


シロオリックスの群れ。左からサラ、ペペ、(顔が隠れていますが)ミルクティ、ビビ、サクラ

 シロオリックスは、オリックス類の特徴であるサーベル状のような2本の角をもつほか、名前のとおり全身が真っ白な短い毛でおおわれ、目元や喉元、背に入る薄茶の“差し色”もとても美しい動物です。

 来園者の方々の歓声をお聞きしていると、キリンとシマウマを間違えることはないものの、シロオリックスに関しては、「ヤギ!」「シカ!」との声も多く聞かれます。

 シロオリックスは大きく分けるとヤギと同じウシのなかまではありますが、肩までの高さは120センチ前後あり、体重も100~200キロで、ヤギよりずっと大きな動物です。また、オリックスの角はシカとは違って生えかわることはありません。このため、事故などで角を欠いてしまった個体や、生え方に特徴がある個体は見分ける際の目安となります。

 異なる種類の動物たちがくらすサバンナでは、同じ種の個体どうしの関係や、異なる種どうしの関わり、住み分け、草を食べるようすなど、見どころがいっぱいです。

 キリンやシマウマに比べて体の小さいシロオリックスが、どのように一日を過ごしているかじっくり観察されてはいかがでしょうか。

ブルーム
サラ
ビビ

 角で見分けやすい個体は、シマウマに蹴られて左角だけになったメスの「ブルーム」や両角の先が交差しているメス「サラ」です。また、両角のアーチがまだ目立たず、まっすぐに伸びている1歳のメス「ビビ」は若いため、動きも活発で見ていて飽きません。

 開園(午前9時30分)直後は3種の動物がそろって「草かけ」(青草を置いた)に集まるので、個体どうしの関わりが多く見られます。

 気になった1頭に注目して観察すると、きっと新たな発見があるはずです。シロオリックスを知る機会としてください。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 中尾理幸〕

(2016年09月02日)


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