多摩動物公園ではエミューを飼育しています。エミューは、オーストラリアの草原や砂地に生息する大型の鳥です。
乾燥したところにすんでいるのですが、多摩動物公園で飼育している個体はじつは水が大好きで、掃除中に水を流していると、ゆっくりと近づいて来て水浴びを始めます。水を浴びながらイヌのように体を震わせたり、その場に座り込んで体を左右に動かしたり、とても気持ちよさそうです。
そんな水が大好きなエミューのために、今年の夏はシャワー付きプールを作りました。
本格的な夏が来る前に……と考え、2016年6月初旬に完成させました。4月の時点でホースの水を浴びに来ていたので、きっと、シャワーを出したら喜んで入りに来るだろうなと思っていたのですが、警戒しているのか、まったく近づきません。
そのうち慣れて入るだろうと思っていたのですが、1週間たっても2週間たってもプールに入った形跡がありません。ホースの水は浴びに来るのに……。
プール設置から1か月たった7月3日、その日は気温35度を超えるとても暑い日でした。掃除中、いつものように水を浴びに来たエミューたちに少しだけ水をかけ、ホースの水を止めてからシャワーを出してようすを観察しました。
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初めてのプール | 2羽で満員です |
すると、オスの「アジット」がゆっくりとプールに入り、シャワーを浴び始めました。続いてメスの「エヴァ」も……。2羽入るとプールは満員です。もう1羽のメス「ワカメ」は、プールの近くをうろうろしながら、流れ出る水で水浴びを楽しんでいました。
【動画:プールに入ってシャワーを浴びるエミューたち】
「きっとこれからはたくさん入ってくれるかな」と思っていたのですが、そういうことでもないようで、よっぽど暑い日じゃないと入りません。気温35度あたりがボーダーラインになっているようです。
今年の夏ももうすぐ終わります。来年はもう少しプールを活用してくれることを期待しつつ、そろそろプールじまいです。来年の夏、気温が35度を超えたら、みなさんエミュー舎に立ち寄ってみてください。ただし、熱中症対策は忘れずに……。
〔多摩動物公園南園飼育展示係 高村里美〕
(2016年08月26日)