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| 「自然保護」、「種の保存」という言葉のほかに、最近になって野生生物や生物多様性の「保全」という言葉をよく耳にします。辞書を見ると、「保護」は「外からの危険・脅威・破壊などからかばい守ること」、「保存」は「そのままの状態に保っておくこと」、「保全」は「保護して安全であるようにすること」と書いてあります。「保全」という言葉には、単に「守る」というばかりでなく、安全を確保するために、より積極的・具体的な行動を起こすという意味も含まれているのです。私たち都立動物園・水族園(上野動物園、多摩動物公園、井の頭自然文化園、葛西臨海水族園)は「野生生物の保全」を、「絶滅の危機に瀕している野生生物の救うためのさまざまな取り組み」と考えています。 |
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| 「野生生物保全センター」は、これまで都立動物園・水族園がつちってきた野生生物に関する飼育繁殖技術を活かし、より高度な調査研究や保全活動を進めるため、2006年に多摩動物公園内に設置されました。センターでは、「生息域外保全の推進」、「バイオテクノロジーの応用」、「生息域内保全への貢献」を三つの柱として活動しています。 |
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| 動物園や水族館における希少動物の飼育繁殖など、本来の生息地の外でおこなう保全活動を「生息域外保全」と呼びます。都立の動物園と水族館では、フンボルトペンギン、ニホンコウノトリ、オランウータンなどのズーストック種をはじめ、オガサワラシジミやアカガシラカラスバトなど、希少動物の繁殖にとりくんでいます。 |
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| 野生生物保全センターでは、とくに希少鳥類の繁殖に力を入れています。そのひとつがクロツラヘラサギです。クロツラヘラサギは世界で1,600羽ほどしか生息していません。 |
| クロツラヘラサギを飼育下で繁殖させるのはとてもむずかしく、親鳥にまかせておいてもなかなかうまくいきません。特に卵からかえって1週間はヒナが弱ってしまうことが多いため、その間、飼育担当者が親がわりとなってヒナに餌を与え、その後、親鳥にヒナを戻すなどの方法で育てます。その結果、2007年は10羽のヒナが育ちました。 |
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| また、2007年12月には、新潟県の佐渡トキ保護センターから2ペアのトキを受け入れ、飼育を始めました。万一、佐渡で鳥インフルエンザ等の伝染病が発生した場合に備えた緊急避難として、佐渡と離れたところで飼育する必要があり、トキ類飼育の経験が豊富な多摩動物公園が飼育場所として最適だったのです。現在、伝染病の予防にも気をつけながら、非公開で飼育繁殖に取り組んでいます。このように、都立動物園以外の機関とも協力することは、野生生物保全を進める上で重要なことなのです。 |
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| 生物工学の先進技術を動物園での保全活動のために導入し、応用することも保全センターに課せられた重要な仕事です。現在、さまざまな分野で応用されている細胞工学や遺伝子工学、生物化学などの先進技術は、飼育下での繁殖や血統管理の推進、遺伝資源の保存など、動物園で保全活動を進めるうえでも非常に有用なものです。家畜などで試みられているこれらの技術を、保全センターでは研究機関との共同研究などを通して、野生動物の保全に向けて導入と確立をはかっていきます。 |
| また、当センターでは、精子・体細胞・受精卵などを液体窒素中に凍結保存し管理する「冷凍動物園」、エンザイムイムノアッセイ(EIA)を使った、血液・糞・尿中のホルモン含量測定、PCR法などのDNA解析技術を用いた性判別や亜種判定、血統解析、遺伝子診断、飼育個体群での遺伝的多様性の調査などに取り組んでいきます。これらの技術は、今後、保全活動のさまざまな場面で活用されることになるでしょう。 |
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| 野生動物を生息地ごと守る活動を「生息域内保全活動」といいます。数の少なくなった野生動物を動物園で飼育し、繁殖させることは、絶滅を避けるためのたいせつな仕事です。しかし、野生動物がもともとすんでいた場所に、これからもすみつづけることができるよう手助けすることはさらに重要です。 |
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生息地開発のせいで、イモリはわたしたちの身のまわりから姿を消しつつあります。葛西臨海水族園と井の頭自然文化園は、多摩地域に生息するイモリの野生個体を守るため、生息調査をすすめるとともに、産卵できる水辺の環境改善をおこなうなどの活動を続けています。 |
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小笠原諸島に生息するアカガシラカラスバトの野生個体数は、最大40羽前後と推測されています。これまで上野動物園は、アカガシラカラスバトの飼育繁殖に取り組み、成果をあげてきました。2008年1月には小笠原父島で、地元の皆さん、大学等研究機関、行政機関、そして国際自然保護連合(IUCN)と協力して、アカガシラカラスバト保全計画づくり国際ワークショップを開催し、今後、ハトをどのように守るか、具体的に話し合いました。 |
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アカガシラカラスバトと同様、オガサワラシジミも小笠原諸島に分布する希少種で、うすい緑色をした、きれいな蝶です。移入種であるグリーンアノールというトカゲに食べられたりして、急速に数が減っています。多摩動物公園ではオガサワラシジミの飼育と繁殖に取り組む一方、現地で進められている環境保全や密猟監視活動を支援しています。 |
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2007年7月、私達はマレーシア・サバ州と共同で、オランウータンを守っていく取組みを進めていくことを約束しました。その後、サバ州のオランウータンリハビリテーションセンターで働くサバ州職員を招いたシンポジウムを開催し、野生生物学を勉強する多くの学生さんが参加しました。今後は、生息地での直接的な保全活動にも貢献していきたいと考えています。 |
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