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ジャイアントパンダの人工授精──上野 2/27
 なかなかうまくいかない、日本とメキシコ間のジャイアントパンダ繁殖計画。メスのシュアンシュアン来日後、ソワソワしていたリンリンでしたが、ハートマークを出してたわけじゃなかった……(涙)。

 柵ごしの見合いの結果は不首尾におわり、2004年2月23日、リンリンから採精(精液の採取)をおこなうととともに、シュアンシュアンに人工授精をおこないました。
 人工授精をおこなうにあたって大切なのは、メスの発情の見きわめ。行動と生理の両面から判断します。発情の兆候であるマーキング行動などはあまり見られていなかったのですが、2月21日ごろから性ホルモンの値が上昇してきました。性ホルモンはシュアンシュアンの尿を採取して検査します。
 性ホルモンのピーク時を判断し、すばやく人工授精を行なうのですが、なにしろ「ピーク」ですから、あるていど目安の値はあっても、なかなか「天井」を判断するのは簡単ではありません。結果、その他の細胞診による検査もふまえ、2月23日に人工授精をおこないました。
 採精にあたっては、来日したサンディエゴ動物園のスタッフの技術も借りて、新方式を採用。緊張の走る中、2時ごろから5時ごろまでかけて、無事作業は終了しました。
 ──ところが、その後もシュアンシュアンに発情兆候が継続。特徴的な声を出したり、水で体を冷やしたり、発情行動が頻繁に見られたうえ、性ホルモン値も再上昇! むむむー、というわけで、2月27日8時から11時ごろ、再度人工授精を実施しました。

 妊娠したかどうか、出産するまでわかりません。というのも、ジャイアントパンダには偽妊娠という状態があって、性ホルモン値で妊娠の判定をするのがむずかしいのです。結果がわかるのは、7月末ごろ。
 赤ちゃんが誕生すれば、シュアンシュアン母子は2006年ごろまで日本にいます。残念な結果が出た場合、今年の夏以降、メキシコに失意の帰国です。

写真上──2004年2月23日の人工授精
写真下──尿中性ホルモンを検査する



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