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シリーズ井の頭自然文化園のカエル No.03
 1年もオタマジャクシで過ごすツチガエル
 └─井の頭 2008/04/18

 ツチガエル背中は土色(つちいろ)で、小さなミミズ腫れのようなイボ状突起が並んでいるのが特徴です。このため「イボがえる」とも呼ばれます。つかまえると独特の臭いがして、毒があるとも言われています。地味な外見や臭いなどから、一般にはあまり人気がないかも知れません。「ギュー、ギュー」という鳴き声は、カエルを踏みつぶしたら、きっと、こんな声を発するのではないかと思えるような、低く単調なもので、ツチガエルの鳴き声だと認識している方は少ないようです。

 一年中水がある場所でないと生活できません。それはオタマジャクシの期間がとても長いからです。産卵期は5~9月で、早い時期に生まれたオタマジャクシの一部はその夏から秋にかけて変態し、子ガエルになりますが、多くはオタマジャクシのまま越冬し、次の年の春~夏に子ガエルになります。このため、冬場に乾燥してしまう最近の田んぼでは生きていけず、田んぼでは珍しいカエルになってしまいました。冬にオタマジャクシを見つけたら、それはツチガエルかウシガエルのどちらかで、小さければふつうはツチガエルです。ツチガエルは田んぼだけではなく、川でも生活できます。また、平地から山地にかけて広くすんでいて、カジカガエルがいるような渓流や川の上流域でも見られます。

 人気はわき役クラスかも知れませんが、水生物館ではどんどん減っているツチガエルの飼育や繁殖に力を入れています。昨年(2007年)は産卵に成功し、バックヤードではたくさんの子ガエルとオタマジャクシが育っています。4月からは主役クラスの大きな水槽で展示することになりました。

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 荒井寛〕

(2008年04月18日)



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