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ツチブタのコメタロウ死亡
 └─上野  2008/01/18

 2008年1月7日の朝、出勤して事務所へ向かう途中、いつものように動物の確認をしていると、ツチブタの寝姿がいつもと違うように感じ、一度通り過ぎたあと、ゾゾッとする気持の中、引き返しました。しばらく見ていたのですが、オスのコメタロウがいつもよりちょっと体を伸ばしており、呼吸による腹の動きもありません。急いで事務所で作業服に着替え、コメタロウを確認すると、やはりすでに死亡していました。

 前日まで、もう1頭の個体、ヨシコ(メス)といっしょに眠り、餌の時間に起こすといつもどおり食べに出てきましたし、食欲もありました。突然のことにびっくりです。解剖の結果、肺の表面に膿瘍があるものの、急死の原因にはならず、心臓が急に止まったことによる死亡であることがわかりました。組織は現在検査中なので、詳細は不明です。

 昨年(2007年)秋以降、コメタロウのペニスから精液が漏れていることがよくあり、ヨシコの陰部も定期的に腫れが見られました。うまく交尾ができれば、繁殖の期待もあったのですが、こういうことになってしまいとても残念です。死亡する2日前にもペニスの勃起と精液の漏れが見られたので、もしかしたらコメタロウが興奮してヨシコに迫り、それが原因で倒れてしまったのかもしれません。解剖の結果にも苦しんだ形跡がなかったのがせめてもの救いです。なお、多摩動物公園の野生生物保全センターで精巣を処理し、精子を冷凍保存しました。

 コメタロウは、2006年5月にアフリカから来た個体です。現地で米を与えていたらしく、来園当時は米を混ぜた餌しか食べなかったのでコメタロウと名づけました。最近では米の入っていない上野の餌にもすっかり慣れていました。展示室内を夜間掘りまくっていたようで、朝、盛られた土のせいで寝室への扉があかないほどでした。

 今後オスを導入できるかどうかわかりませんが、可能なかぎりペアでの飼育を目ざしています。しばらくヨシコ1頭になってしまいますが、今後とも、いつも寝てばかりのツチブタをよろしくお願いいたします。

写真上・中:仲よく食事中のヨシコとコメタロウ(右)
写真下:すごい寝相のコメタロウ

〔上野動物園西園飼育展示係 細田孝久〕

(2008年01月18日)



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