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エミューの翼のふしぎなツメ
 └─大島  2007/11/09

 2007年11月7日朝、大島動物公園でエミューが死亡しました。存在感がある鳥だけに、残念な思いもまた強いのですが、生きていたときにはあまり近づくことができなかったので、気持ちを切り替え、体を観察することにしました。

 エミューの羽毛は、一本の羽毛が「二重構造」になっていることが知られています。つまり、正羽(せいう)の根元から分かれて生えている「第2の羽」である後羽(こうう)が、正羽とほぼ同じ長さをしているのです。

 これまでも、抜けた羽を拾っては、「体中、どの羽毛も二重構造になっているのかな?」と気になっていましたが、今回調べて、ようやくすっきりしました。胸や背中はもとより、翼もすねの羽毛もみごとに二重構造になっていたのです。ただし、首から頭の方へ行くにつれ、正羽に比べて後羽がだんだん小さくなり、頭部の露出部との境目あたりに生えている羽毛に後羽はありませんでした。

 また、小さな翼を裏返してびっくり! 翼の先端に長さ2センチほどの立派なツメが1本生えていました(こちらもニュースページの写真をごらんください)。南米のツメバケイなど、翼の関節付近からツメが生えている鳥はいくつか知られていますが、エミューにもツメがあり、しかも先端にあるとは予想しませんでした。

 羽毛に関する疑問はついに解決したのですが、「ふだんツメはどんな役に立っているのだろう?」「どうやってツメを研いでいるのだろう?」「ひなのときからツメが生えているのかな?」など、あらたな疑問が増えてしまいました。

写真上:羽毛(上左と上中は首、上右がすね、下は胸)
写真下:右翼先端のツメ

〔大島公園動物園 田畑邦衛〕

(2007年11月9日)



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