ニュース
水中でくらせるクモはミズグモだけ。
 いつでもミズグモが見られるのは井の頭だけ。
 └─井の頭 2007/08/17

 ミズグモは世界でただ1種、水中で生活できるクモです。おしりに生えたビロードのような細かい毛が水をはじき、おしりのまわりに空気をつけて、水中へ持ち込むことができます。これが空気ボンベのような役割を果たすのです。

 水面からおしりの先を突き出して空気を入れ替えればいいので、水から出る必要はありません。また、クモの得意技である糸を水中であやつり、水草などに糸を張りめぐらせ、水面から空気の泡をそこにいくつも運び込んで、ドーム型の巣(水中部屋)を作ります。この巣さえあれば、水面まで移動する手間も省けて、長い時間水中に滞在することができます。

 こんなミズグモの水中生活がいつでも観察できるよう工夫し、水生物館で展示を始めたのは昨年(2006年)の8月です。きっかけは、井の頭自然文化園の近くにある三鷹の森ジブリ美術館で「水グモもんもん」という映画を上映するにあたり、井の頭自然文化園で実物を展示できないか、とお誘いを受けたことでした。

 はじめはミズグモの飼い方がよくわからず、試行錯誤の連続でしたが、なんとかうまく飼育することができるようになり、さらに繁殖にも成功した結果、一年を通して展示することができるようになりました。

 すでに、“孫グモ”も育っています。今後もミズグモたちを繁殖させ、展示を続ける予定です。ミズグモはヨーロッパから東アジアにかけて広く分布していますが、ミズグモがいつでも見られるのは、おそらく世界中で井の頭自然文化園だけです。ぜひ、一度じっくりと眺めてみてください。

・東京ズーネットBB、動画「水中で生活するミズグモ

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 荒井寛〕

(2007年8月17日)



ページトップへ