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ウメイロモドキの群れを展示中──葛西 2006/02/10
 ウメイロモドキの群れは、葛西臨海水族園でもっとも見た目の美しい展示のひとつにあげられるでしょう。「東京の海」のコーナー、「伊豆七島の海」の水槽で見られます。

 真っ青な体に、背中から尾びれにかけての鮮やかな黄色。一尾でも青と黄色のコントラストが美しい魚ですが、それが百尾ちかくも群れていると、さらに美しさがきわだちます。先日あらたに魚を追加したので、群れの動きとともに青と黄色の色彩が水槽いっぱいに広がっています。

 ところで、群れの美しさに目をうばわれ、なかなか一尾、一尾にまで目がいきませんが、その口に注目するとおもしろいことに気づきます。ウメイロモドキは全長が40センチほどになる魚で、その体の大きさから考えると、他の小魚をエサにしていてもおかしくありません。しかし、口を見てみましょう。体のわりに、とてもとても口が小さいのです。こんな小さな口で何を食べているのでしょう?

 ウメイロモドキは、暖かい海の、サンゴ礁や岩場近くで群れをつくって遊泳しています。中層に群れて、水中を流れてくる小さなプランクトンを食べているのです。小さなエサを少しずつ食べるかれらには、水族園でもサクラエビのミンチなどを一日何回かにわけて与えています。小さな口を小さく開いてパクパクとエサを食べるようすは、美しい外見に似合っていて、とても上品な感じです。

 自然の海では何千尾もの大きな群れをつくることもあるそうですが、小規模な群れなら、私も水中で見たことがあります。真っ青に澄んだ海、射し込む光の中、背中の黄色が映え、ためいきの出るような美しい光景でした。でも、かれらはみんなで食事中だったんですね! 水族園でも、その美しさを堪能するとともに、ぜひ、小さな口にも注目してみてください。
〔東京動物園協会調査係 天野未知〕

(2006年2月10日)



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