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深海でくらすキンメダイ──葛西 1/17
 お正月や結婚式などのおめでたい席に欠かせない魚といえば、マダイ。日本人にとっては特別な魚です。美しさと風格をそなえているため、広く利用されています。

 一方、マダイ以外にも「~ダイ」と名のつく魚はたくさんいます。なかにはマダイのなかまではない魚にまで「~ダイ」という名前がついていたりします。

 図鑑でしらべてみたところ、「~ダイ」という標準和名をもつ魚は、じつに 300以上。いかにタイという魚が日本人に好まれているかがわかります。

 さて、葛西臨海水族園にも、マダイをはじめ、いろいろな「タイ」がいるのですが、今回は、海の深いところに住んでいる「タイ」をご紹介しましょう。

 水族園の「深海」のコーナーに行くと、いました、いました。「マトウダイ」、「メダイ」、「ツボダイ」、そして「キンメダイ」。いずれも「~ダイ」と名前がついていますが、マダイのなかまではありません。なかでもキンメダイは、マダイのように体が赤いため、お祝いごとの際、マダイのかわりに使う地方もあるそうです。

 キンメダイは、通常、水深200~800メートルのところでくらしています。キンメダイの赤い体色は一見目立ちそうですが、水中では光の赤い波長は吸収されやすいので、これほど深いと体は黒くしか見えず、逆に目立ちにくいのだと考えられています。

 さらになんといっても、特徴的なのは名前の由来にもなっている金色に光る大きな目。キンメダイの目は、網膜のうしろに鏡のような部分があり、目に入った光を反射させて、少ない光を効率よく利用できる仕組みになっています。この仕組みは、深海の暗闇の中で餌などを見つけるのに役立ちます。この鏡の部分に光があたって反射するため、目が金色に光って見えるというわけです。

 大きなものでは体長60cmを越えるキンメダイ。水族園にいるキンメダイはまだまだ小さいのですが、今後どこまで大きく育ってくれるか楽しみです。水族園におこしの際は、この他にもどんな「~ダイ」がいるか、ぜひ探してみてください。

〔葛西臨海水族園調査係 佐藤薫〕



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