上野動物園西園のケープペンギン舎は、2013年1月から展示場の改修工事をおこない、2月から展示を再開しました。
改修工事の主な目的は「野鳥の侵入防止」です。展示場は屋外にあり、今までウミネコやゴイサギなどの野鳥がペンギンの餌の魚をねらって集まってきていました。ここ数年、ウミネコは上野周辺で繁殖が確認され、ゴイサギは動物園内をねぐらにするなど、数が増えているようです。
ペンギンの餌の時間になると野鳥も集まってきます。泳いで魚を食べるペンギンの近くでおこぼれをねらうゴイサギを興味深く見たお客さんからは、ペンギンよりゴイサギについての質問のほうが多く、飼育係としては複雑な気持ちでした。
また近年、鳥インフルエンザが国内で発生し、野鳥との接触が原因のひとつといわれています。その予防も含め、展示場をネットで囲い、野鳥が侵入できないようにしました。
工事中の1か月間、ペンギンたちは別の場所に移動させていましたが、展示場に戻るとすぐに水浴びをしたり、ペアは自分たちの巣に入り「ふう、やっと戻れた」といった感じでした。そんなホッとした気分もつかの間、ペアたちはさっそく巣材を集めはじめ、2月下旬から産卵をしています。
ペンギンたちは休む暇なく、着々と春の準備をしています。
写真上:ネットで囲ったリニューアル後のペンギン舎
写真下:ケープペンギンたち
〔上野動物園西園飼育係 坂下涼子〕
(2013年03月01日)
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