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久しぶりの登場、ミミセンザンコウ
 └─上野  2012/12/07

 上野動物園「夜の森」にセンザンコウのペアが登場しました。

 センザンコウは、有鱗目の哺乳類です。アフリカとアジアに分布し、今回上野動物園に来園したのは中国南部や台湾などアジアの森林に生息するミミセンザンコウという種類です。

 センザンコウは、背中が硬い鱗で覆われており、体を丸めることにより外敵から身を守ります。また、歯はなく、シロアリなどの餌を捕るために特化した長い舌が特徴的です。前肢の大きな爪は、餌を探す際にアリ塚や朽木を崩したり、巣穴を掘ったりするのに役立ちます。見かけによらず木登りも得意で、尾を器用に使いながら上り下りします。シロアリを餌にしていることから、体の特徴がアルマジロ(貧歯目)やアリクイ(有毛目)に似ていますが、別のグループに属しています。
 肉は食用に、鱗は漢方や工芸品の材料として需要が高く、乱獲による個体数の減少が懸念されています。

 現在、「夜の森」では2頭を同じスペースで飼育し展示しています。以前、ジャワマメジカとスローロリスがいた展示場をセンザンコウ仕様に改良し、床面には土を敷き、たくさんの稲ワラを置きました。展示場の環境にも慣れてきた今では、細い木を上手に登ったり、土を掘ったり、稲ワラの中で丸まって寝ている姿など、さまざまなようすを見ることができます。

 「夜の森」では、おからを中心にドッグフードやヨーグルト、リンゴ、冷凍アリなどを午前と午後の2回に分けて与えています。食べているところは一見、ほかの動物と変わらないようですが、じつは舌を一生懸命出し入れして食べています。舌を使った餌の食べ方をごらんいただけるよう、くふうしてきたいと思っています。

・東京ズーネットBBの動画から
 「ミミセンザンコウ」(2004年03月撮影)
 「ミミセンザンコウの食事風景」(2008年12月撮影)

写真:新登場のペア

〔上野動物園東園飼育展示係 市川亜友美〕

(2012年12月07日)



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