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ウニのトゲ、いろいろ
 └─葛西  2012/12/07

 葛西臨海水族園東京の海エリアの「小笠原潮だまり」水槽では、波が激しく打ちつける小笠原の磯で見られる、特徴的な生き物を展示しています。

 水槽の中でまず目につくのは、岩の上で動いているタマカエルウオです。大きな胸びれで体を支えて、波に流されないようにしています。

 さらに岩の上をよく見ると、直径6センチくらいの黒くて丸いものがくっついています。これはジンガサウニです。今回は、このジンガサウニなどを例にして、ウニのトゲについてのお話です。

 「ウニ」といえば、トゲトゲの丸い形の生き物を想像しますが、あのウニらしいトゲが、ジンガサウニには見当たりません。でもトゲがないわけではありません。体の表面にウロコのように見えるのが、太くて短くなったトゲなのです。また、体のへりにずらりと並んだトゲは板状になっていて、これら全体が、武士がつけていた「陣笠」によく似ていることからこの名がついたのでしょう。

 うろこ状と板状に変化したトゲは、水の抵抗を受けにくく、強い波の力から体を守るのに役立つため、波が強い岩場でもくらすことのできる理由の1つとなっています。

 このようにウニのトゲをよく見てみると、体の部分によって、太さや長さ、形が違っています。「潮だまり」水槽のムラサキウニは、私たちが最もウニらしいと思える、全身が「いが栗」のような形をしていて、同じようなトゲが体を取り巻いているように思われがちです。でも実際は、体の上のほうにあるトゲは長くとがっていて、体の下のトゲは短くあまりとがっていません。

 ウニのトゲは、主に身を守るためと動くために使われます。ふだん岩などにくっついて生活しているウニにとって、敵は上からやってくるので、体の上のトゲは身を守ることに役立て、体の下のトゲは歩くことに役立てています。

 水族園では、たくさんの種のウニを観察することができます。ぜひウニのトゲに注目して、くらしぶりとの関わりを見てみましょう。

写真上:ジンガサウニ
写真下:ムラサキウニ

〔葛西臨海水族園飼育展示係 金原功〕

(2012年12月07日)



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