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地震発生時の状況と対応
 └─葛西  2011/04/18

 葛西臨海水族園の大水槽「アクアシアター」では、毎日午後2時30分からマグロ類に給餌し、飼育係員が解説をおこなっています。2011年3月11日、給餌と解説が終わり、多くの方が次のコーナーに移動し始めたときに大地震が発生しました。

 水族園が経験したことのない強く長い周期の揺れが施設を襲いました。江戸川区では震度5強です。強い揺れで来園者にも不安と緊張が走る中、さっそく館内放送で「水族園は揺れに強く、建物は壊れる心配がありませんので、落ち着いてください」とアナウンスしました。走り出しそうなお客さんもその放送を耳にして、「大丈夫なんだって」と言いながら落ち着きを取り戻してくださったようです。

 しかし、周期の長い振れは水槽の水を大きく揺り動かし、大水槽では50センチを超える波が発生。展示場から水槽上部を見上げると、ふだん見えない通路などが見え隠れしています。波で泡立ち、半分以上白くなった水槽の中をマグロが右往左往していました。

 「世界の海」や「東京の海」の水槽では擬岩が崩れ落ち、水底に敷いてある砂が巻き上がって、いくつもの水槽が白濁していました。

 揺れが落ち着いたあと、水槽上部からあふれた海水が展示ギャラリーに浸み出してきました。来園者の方を室内からペンギンテラスやエントランス広場に誘導し、その後、臨時閉園。全国的に大津波警報が出され、東京内湾部にも津波注意報が発令されましたが、やがて津波警報に変わり、葛西臨海公園内では警察等の広報車が公園内からの退避を放送で呼びかけていました。

 閉園後、水槽からあふれた水や設備のチェックや補修作業にとりかかりましたが、津波警報の発令後、念のため2階以上に職員等を避難させました。屋上の空の広場から東京湾を見わたすと、市原の石油コンビナートの爆発や大きな炎が目に飛び込んできました。潮位が上がる時間なのに目の前の人工なぎさの水がひき始め、やがて小さな津波がなぎさの砂や泥を巻き上げて押し寄せてきます。

 約1時間が過ぎても津波警報が解除されないため、屋上に海面変動の監視担当者を置き、復帰作業を再開しました。気象庁の観測では晴海で1.3メートルの津波が観測されたそうですが、幸い、水族園には大きな被害はありませんでした。

 また、水族園では来園者や職員の負傷、施設への深刻な被害や地震による展示生物の被害もありませんでした。以前から消防訓練の避難誘導や非常放送等の訓練をしていますが、その効果と重要性についてあらためて考えることとなりました。

(写真は地震発生時の撮影ではありません)

(2011年04月18日)



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