ちょっとレアな生物ウミグモを紹介します。ウミグモといっても陸上のクモとはまったく別の生物で、海にくらし、足が8本あるのでウミグモと呼ばれています。
今回登場するヤマトトックリウミグモは、北海道、東北から九州南端まで、水深150~500メートルくらいの深海で生活し、胴体の長さが5センチメートル、足の先まで入れると幅は10センチメートルにもなる、ウミグモの中では大型のものです。
歩くための足は8本ですが、名前どおり「徳利状」の吻がついた頭部には小さな3対の付属肢があります。そしてこの付属肢は一対ずつそれぞれ、鋏、触覚、オスの場合は卵塊をつけて抱えこむ、という役割をもっています。胴体がしぼんだように目立たないので、ほとんど足だけでできているような印象を受けます。
ウミグモのなかまは現在世界で500種あまりがいるだけですが、古生代には繁栄していたようで、現在のものとほぼそっくりの化石が古生代デボン紀層から見つかっています。
葛西臨海水族園では、「深海1」の水槽でヤマトトックリウミグモを展示しています。この水槽ではそのほか、これも生きた化石といえるウミユリのなかまの「トリノアシ」や、変わった形の「ミョウガガイ」、植物のように枝分かれしたクモヒトデのなかま「セノテヅルモヅル」、イソギンチャクのついた殻をかついだ「ジンゴロウヤドカリ」などの不思議な生物がいっぱい見られます。
水族園の「世界の海」エリアの最後にある深海の水槽で、ちょっとマニアックでレアな生物たちを見てみませんか。深海なので少し暗くしてありますが、目が慣れると不思議な気分に浸れることうけあい、です。
写真上:ヤマトトックリウミグモ
写真下:深海水槽
・東京ズーネットBBの動画
「
不思議な生物ウミグモ」(2007年02月撮影)
・関連ニュース
「
奇怪な姿、ウミグモ」(2007年02月09日)
〔葛西臨海水族園飼育展示係 江川紳一郎〕
(2011年02月25日)