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ヨツユビハリネズミ、生まれました!
 └─上野  2010/02/26

 上野動物園の西園にある小獣館の地下、いちばん最初の小窓の部屋ではヨツユビハリネズミを展示しています。先日、2010年2月12日に2頭の子どもが生まれました。

 本年初頭には、ヨツユビハリネズミのオスがメスを追尾する姿が見られました。メスが逃げ回るので、観察している間は交尾が見られませんでしたが、その後、追尾は見られなくなりました。

 ヨツユビハリネズミの妊娠期間は30~35日くらいといわれています。追尾を目撃してから1か月が過ぎた2月10日の朝、メスがふだんと違う、いきむようなしぐさを見せました。捕まえて体を確認すると、乳首がふだんよりも少し大きく、赤っぽくなっています。出産の兆候のようです。

 展示室は狭く、メスのための出産の環境を準備できません。また、このまま出産させると、オスが子どもを食べてしまうおそれがあります。そこでメスを予備飼育施設に移し、出産のための環境を整えました。

 そして2日後の2月12日の朝、ようすを確認すると2頭の子どもが生まれていました。交尾があったと推定される日から33日目でした。上野動物園でのヨツユビハリネズミの繁殖は、2008年7月以来です。

 生まれたてのハリネズミの子どもは薄いピンク色をしていて、針がまだほとんどありません。また、出産のときに母親の身体を傷つけないよう、針はまだやわらかく、触っても痛くありません。翌日には針が伸び、硬くなり始めたのが感じられ、1週間くらいで細いながらもすっかり硬い針になりました。

 母親に余計なストレスを与えないよう、1週間予備飼育施設で暖かくして静かに飼育しました。母親は今回が初めての出産ですが、子育て上手で、母乳も十分に出ているらしく、2頭とも順調に育っています。また、担当者が確認のためにのぞくと、母親は「シューシュー」と音をたてて威嚇してきます(これは現在でも変わりません)。

 さて、展示室を整備して、出産から1週間後の2月19日、母仔を移動して展示を開始しました。9日前までいた部屋ですが、少し環境を変えました。そこで、約1週間使って匂いがついたチップとシェルターを置き、保温にも気をつけたところ、母親は落ち着いたようすで、すぐ環境になじんでくれました。

 その後も子どもは順調に成長しています。2月24日現在、まだ目は開いていませんが、針はしっかりしてきて数が増えました。また、薄いピンク色だった体の表面が黒っぽくなってきました。体を丸めて防御の体勢も少しだけとれるようになりました。

 子どもはまだほとんど自分の力では歩けず、じっとしていることが多いため、シェルターの中にいると暗くてほとんど見えません。もう少しして歩けるようになると、ミニチュア版のハリネズミがちょこまかと展示室内を歩き回る姿がごらんになれるはずです。ぜひ小獣館に見に来てください!

写真上から:
・出産当日(2010年2月12日)
・まだ丸くなれません(2月15日)
・ちょっとだけ丸まれるようになりました(2月19日)
・授乳中(2月23日)

〔上野動物園西園飼育展示係 井上智右〕

(2010年02月26日)



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