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園内で秋の色を楽しむ └─井の頭 2009/11/27 |
都市部の紅葉は色の冴えに欠け、時には色が汚いとさえいわれることがあります。観光地のような恵まれた条件は望めない都会の紅葉の魅力を追究するには、少しだけマニアックな角度からのアプローチが必要です。今回はいつもとはひと味違う秋を楽しむヒントをご紹介しましょう。
わたしたちは毎年、モミジは赤、イチョウやコナラは黄色と、経験からそんなふうに秋の彩をとらえ、その鮮やかさ如何によって一喜一憂することを繰り返してしまいます。
しかし、さまざまな草木のさまざまな葉の上で繰り広げられている驚くべき化学反応によって、数限りない色の諧調が生み出されていることを知れば、それまでくすんだ色にしか見えていなかった都会の紅葉、黄葉の、そのほんとうのすばらしさに触れることができるのです。
今、井の頭自然文化園を散策すると、さまざまな色に出会えます。
正門を入るとすぐに迎えてくれるケヤキは、ヤマブキの花のような冴えた赤みのある黄色の「山吹色」をして枝先にしがみついていますし、ヤマブキはといえば、「藤黄」(とうおう)という顔料のような温か味の、冴えたあざやかな黄色で風にそよいでいます。
「リスの小径」まで足をのばせば、トウカエデのたった一枚の葉の中に、キハダの内皮のような鮮麗な黄色の「黄檗」(きはだ)や、蒸した栗の実に似た「蒸し栗色」、それから、「菜の花色」をふんわりとまとった艶麗な紅赤色の「韓紅花」(からくれない)を見ることができます。そして、「和鳥舎」の手前にたたずむホオノキの老大樹の足元では、熟しきった桑の実のような暗い赤紫色の「桑の実色」の落ち葉が人知れず乾いた音をたてています。
園内をほんの少し歩いただけでも、これだけたくさんの色に出会うことができます。色の名前を知るという、ただそれだけでこんなにも世界に深みが増すのかと驚きを隠しきれません。みなさんにも、カラーチャート──できれば日本の伝統色のカラーチャート──を手に散策することをおすすめします。
色の名前を知ることで、みなさんの昨日までの生活に小さな変化が訪れ、世界が少しだけ味わい深くなったらいいなと思います。
写真上から:落ち葉のようす、ケヤキ、ヤマブキ、トウカエデ、ホオノキ
〔井の頭自然文化園施設係 浜中和晴〕
(2009年11月27日)
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