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わぁ、小さい! エミューの卵
 └─多摩  2009/03/06

 エミューの卵を見たことがありますか? ニワトリの卵は約50グラムですが、エミューの卵は約550~650グラムで、色はアボカドに似た鮮やかな深緑です。

 生息地であるオーストラリアでは、エミューは5月から10月にかけて、2~5日間隔で1個ずつ、計10~30個の卵を産みます。しかし、北半球は季節が逆なので、多摩動物公園では日照時間の短くなる1月~4月に2~3日おきに産卵します。

 多摩にいる2羽のメスは母と娘。2009年、母親のエヴァは1月8日、娘のミカヅキは1月16日から産卵し始めました。ミカヅキにとっては、今回が初めての産卵。しかし、ミカヅキの産んだ卵を見て、思わず「わぁ、小さい!!」と叫んでしまいました。

 ミカヅキの卵は重さ340グラム、長径105.8ミリ、短径76.4ミリ。毎年産む母親エヴァの卵は、重さ672.8グラム、長径141ミリ、短径88.2ミリ。重さで比べると、その差300グラム余り。約半分もちがいます。

 こんなにちがいがあるものなの?……不安になって、これまでのエミュー担当者や鳥に詳しい職員に聞いてみました。すると、ニワトリなどでも、初めて産む卵は小さいことがあるそうです。

 ならば、ミカヅキが今後産む卵は、徐々に大きくなってゆくのか……? そこで記録をとることにしました。しかし、ミカヅキは産卵場所が定まらず、コンクリートの上で産んだり、立って産んだり、ヒビが入って割れていることも多く、完全な卵を手に入れるまで3週間ほどかかりました。この間、ミカヅキは5個の卵を産みました。

 ヒビが入ったこともあり、データにバラつきもありますが、ミカヅキの産む卵は少しずつ重くなり、長径と短径も徐々に大きくなっています。ミカヅキのいちばん新しい卵は14個目にあたり、重さ415グラム、長径114ミリ、短径80.5ミリです。

 なお、今年の卵は有精卵か無精卵かわからず、孵化をさせる予定はありません。産卵期間中にどれたけ卵が大きくなるか、何個産むのか、今後も楽しみに記録と観察を続ける予定です。

写真上:ミカヅキの卵(左)とエヴァの卵
写真中:母親エヴァ
写真下:エヴァの娘ミカヅキ

〔多摩動物公園南園飼育展示係 田辺麻理絵〕

・東京ズーネットBBの動画「エミュー」(2005年4月)
 (上野動物園のエミューです)

(2009年03月06日)



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