上野動物園では、ツキノワグマの冬眠展示を試みています。昨年(2006年)は、日本初の人工冬眠に成功。今年も、昨年とおなじ個体であるニホンツキノワグマの「クー」(メス、2歳10か月)が、12月26日から「冬眠ブース」で眠りつづけています!
昨年は、冬眠ブース内のようすをモニター画面に映し出して公開していましたが、今年は冬眠しているクーのようすを小さな窓から見られるようにします。上野動物園は2008年1月2日(水)から開園ですが、そのときにはすでに冬眠状態がモニター画面で観察できるはずです(冬眠ブース内を小さな窓から直接観察できるのは、しばらく先になる予定です。小さな窓も当面は閉じられていますので、モニター画面でクーのようすをごらんください)。
・冬眠までの経緯
2007年
12月13日 餌を最大量(9kg)の約2/3に減らす
12月16日 餌を最大量(9kg)の約1/2に減らす。午後、屋外
展示場から室内展示室に移動(以降、室内で展示)
12月18日 室内展示室と冬眠ブースの間にある「準備室」を
1℃に設定。室内展示場と準備室の間のドアは閉
め、準備室と冬眠ブースの間は自由に行き来でき
るようにし、クーを準備室に入れる。眠っている
時間は約13時間20分
12月19日 餌を最大量(9kg)の約1/5に減らす
12月20日 初めて冬眠ブースで眠る
12月22日 準備室をマイナス2℃に設定。眠っている時間は
約16時間
12月23日 絶食させる。準備室はマイナス3℃に設定
12月26日 準備室をマイナス5℃に。冬眠ブースに入って眠
る。眠っている時間は約18時間
12月27日 前日からほぼ連続して眠り続けている。冬眠状態
に入ったと思われる
今回、昨年とは異なる試みもおこなっています。
1)冬眠中のクーの体内に「データロガー」と呼ばれる超小型の温度測定装置を埋め込み、冬眠から目覚めたら取り出して、記録された体温データを確認
2)冬眠ブース内を観察できる小さな窓を設置
(現在、小さな窓[のぞき穴]は閉じられています。
クーのようすを見ながら、直接観察できるタイミ
ングを調整します。)
新たなステップに入った冬眠展示へのチャレンジ。冬眠するツキノワグマのようすを、ぜひ上野動物園でごらんください。
・東京ズーネットBBの動画
「
ツキノワグマの冬眠施設」(2006年9月撮影)
・東京ズーネットのニュース
「
クマ、ついに冬眠? 冬眠チャレンジ」
写真上:ツキノワグマの「クー」
写真中:冬眠ブース
写真下:モニターに映し出されたクー。2007年12月27日撮影
(2007年12月28日)