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迷子のオットセイを保護──2006/09/10

 2006年9月9日に埼玉県川越市で発見され、保護されたオットセイのオスが、9月10日に上野動物園に運ばれ、動物病院に収容されました。

 オットセイが最初に見つかり、川越警察署に通報があったのは、9月9日午前7時すぎ、埼玉県川越市の新河岸川(しんがしがわ)でのことでした。一時、ゆくえを見失いましたが、夜10時になって「水田に動物がいる」との通報を受け、川越市職員と川越警察署員が出向いたところ、なぜか田んぼに入ってしまったオットセイが、稲を倒しながら動いていたとのこと。

 午後10時30分には保護され、9月10日まで市であずかっていましたが、最終的に上野動物園で保護・収容することになりました。オットセイをオリにいれ、ビニールシートを床にしいて、水や氷を与えながら、川越から上野動物園まで1時間半以上。午前11時30分ごろ、到着したオットセイは、やや疲れているようすでした。動物病院で体重を測ってみると、23.5キログラム。体長は約1メートル。胸に幅2センチ、深さ1センチほどと確認される傷がありますが、詳細は不明です。

 性別を確認するとオス。飼育されていたわけではなく、野生個体であり、繁殖のための「ハーレム」を離れた個体かもしれません。冬でも銚子沖が分布南限ですが、いずれにせよ「外洋性」の動物なので、埼玉県の川で、しかも、人に保護されるというのはめずらしいことです。

 傷の処置後、現在、上野動物園動物病院内の涼しい場所で、休養させています。えさはまずアジを与える予定。今後、水産庁と相談しながら、このオットセイの保護について検討します。(追記:水産庁との協議の結果、最終的には野生に戻すこととなりました。)

写真上・中上:上野動物園動物病院にトラックで到着
写真中下:動物病院で傷の治療中
写真下:動物病院内収容後。胸の傷が見える

(2006年9月10日12時45分)
(2006年9月15日追記)



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