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【近況更新】ゼニガタアザラシの子どもが育っています!
 └─2023/05/24(07/06更新)
2023年7月6日追記:
 近況を追記しました。くわしくはこちらをご覧ください。



 2023年4月8日未明に、ゼニガタアザラシの「ユカ」が出産しました。上野動物園でのゼニガタアザラシの繁殖は初めてのことです。


産毛に包まれた子ども

 ユカは、2016年12月に上野動物園に来園しました。当時はまだ幼獣でしたが、すくすくと成長して繁殖適齢期をむかえ、出産にいたりました。
  
 上野動物園のゼニガタアザラシは、日常的にトレーニングをしており、その際に直接体に触れてさまざまなチェックをすることができます。昨年の秋ごろから妊娠の可能性が高まったため、トレーニングの中に超音波診断を取り入れました。すると11月半ばに胎児らしき画像が写ったので、出産準備を進めることにしました。

 妊娠期間の後半に入ると神経質になってきて、だんだんとトレーニングを受け付けなくなり、超音波検査もできなくなりました。外見で妊娠していることがわかるようになってきましたが、交尾日が特定できていないため出産予定日が決められません。
 
 アザラシ類を飼育していて繁殖の経験も豊富なほかの園館に助言を求め、ユカを注意深く観察し、ほかの個体と分けて飼育するなどなるべく落ち着けるようにしました。関係者一同やきもきしていたところ、ようやく4月の初めに出産の兆候が見られ、8日に出産しました。子どもはオスで、みっちりと肉付きがよく、体重は14.7kgでした。


【動画】出産時のようす

 さて、次の課題はユカが子どもに無事に授乳するかどうかです。監視カメラの記録をチェックしたところ、9日の明け方に授乳姿勢をとり、子どもが乳首に吸い付くようすが確認できました。しかしその後うまく授乳できず、乳汁の分泌も確認できないため、人工哺育をおこなうことになりました。ユカが子どもを排除するようすがなかったため、最初のうちは哺乳の時だけ母子を分け、その後しばらくしてからは子どもだけを隔離して飼育することにしました。ユカはときおり柵越しに子どものようすを見に来て、気にはしているようでした。

 当初は哺乳瓶を使い、自力で人工乳を飲むようにトレーニングしましたが、何度か哺乳瓶から飲んだもののうまく飲めるようにならず、シリコンチューブにより胃に直接ミルクを流し込む方法を主体とし、現在まで続いています。

 生まれてからしばらく、子どもを隔離スペースで飼育し、小さく浅いプールで泳ぎの練習をさせました。体力がついてきた生後26日目の5月3日に初めて展示プールに放飼し、しばらくぶりに母子で同居をしました。子どもはユカといっしょに活発に泳ぎ回り、またユカは子どもをやさしく導くように泳いでいました。しばらく隔離してはいましたが、母子の関係は残っていたようです。さらに、出産直後以来の授乳姿勢をとるようになり、子どもが乳首に吸い付くようなようすも観察できました。


展示プールでいっしょに泳ぐ母子

 生後35日目の5月12日からは、終日母子を同居させています。ぜひ仲睦まじく元気に泳ぎ、また上陸して並んで休息している母子をご覧ください。現在離乳を進めていますが、人工哺乳はしばらく続くため、1日に数回子どもを隔離スペースに連れて行きます。子どもをご覧になれないタイミングがありますが、ご理解をお願いします。

〔上野動物園東園飼育展示係〕

2023年7月6日追記:母子の近況について

 6月20日ごろから母親に発情の兆候が見られ、子どもを遠ざけるようすが見られるようになったため、6月24日からは親子を完全に分けて飼育しています。

 子どもは現在、自力で採食ができるよう練習しているところです。体重は6月28日に30kgに達しました。引き続き状況をよく見ながら、しっかりと飼育をしてまいります。

◎関連ニュース
ゼニガタアザラシの来園(2017年02月06日)

(2023年05月24日)
(2023年07月06日:近況について更新)



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