2022年4月6日、東園・総合案内所のすぐ脇に、オンライン発信基地としてさまざまな発信機材や教材などを備えた専用の施設「UENO ZOO STUDIO」（うえのズースタジオ）が誕生します。


「UENO ZOO STUDIO」外観
　新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、上野動物園では2020年2月から園内での各種イベントを休止しています。そこで、「遠足で動物園に行けなくなってしまった子どもたちに、少しでも動物と接する機会を」と、2020年10月から東京都内の小中学校を対象にオンライン授業を始めました。すると、2022年3月末までの約1年半のあいだに61校、5,345人もの子どもたちに参加してもらうことができました。

　来園学習の代替として始めたオンライン授業ですが、実はそこに大きな利点があることがわかりました。

　第一に、来園する前におこなう「事前学習」としても非常に有効であることです。動物園に来る前に、動物に親しみを持ったり見るポイントを押さえたりしておくことで、実際に動物に向き合ったときの子どもたちの意識が大きく変わります。

　そして第二に、動物園に来られない子どもたちともつながれること。東京都にも、伊豆諸島や小笠原諸島などの離島、また病院の院内学級を含む特別支援学校など、動物園に来たくても来ることのできない環境下にある子どもたちがたくさんいます。そのような子どもたちにも、オンラインであれば動物たちを映像で見せて説明したり、質問に答えたりすることができます。

　ほかにも、オンライン授業をおこなう利点はいくつもありました。そこで、より力を入れて取り組めるよう、専用で使える施設としてこの場所を定め、発信のためのインターネット配線や各種の撮影機材、授業で使用する学習教材を揃えるなどの整備を進めました。


オンライン授業をおこなう動物解説員
　約3ヵ月間の試行期間を経て、2022年4月6日、当園では初となるオンライン発信基地「UENO ZOO STUDIO」が誕生します。当面はオンライン授業の場として使用しますが、いずれはそれ以外のさまざまなオンラインイベントの発信基地としても有効利用する予定です。

　ご来園のみなさまがスタジオ内に立ち入ることはできませんが、中のようすをガラス越しに見ることができます。もし運よくオンライン授業の配信中に通りかかったら、ぜひそのようすをご覧ください。ただし、配信の支障とならないようご見学はどうぞお静かに。

　上野動物園は、SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」の実現をめざし、これからも誰ひとり取り残さない教育普及活動に取り組んでいきます。

（注）授業またはイベントの内容をすべて公開するものではありません。また、プライバシー保護のため、配信先の参加者（学校の子どもたちなど）の映像等を見ることはできません。どうぞご了承ください。

〔上野動物園教育普及係（動物解説員）〕

（2022年04月05日）