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2頭のマレーグマの近況について
 └─ 2021/08/14

1.マレーグマ「モモコ」の状況について

 上野動物園の東園「クマたちの丘」で飼育しているマレーグマ「モモコ」(メス、30歳)は、2021年8月3日から基本的に終日、室内で過ごしております(※2021年8月13日現在、国内最高齢)。

 モモコは7月25日に放飼場で突然嘔吐したため、直ちに室内に収容し処置をおこないました。当初、熱中症を疑いましたが、パンティング(口を大きく開き、浅く速く呼吸をすること)がみられなかったことや、その後しばらくして涼しい室内でも嘔吐がみられたことなどから、熱中症以外の原因を探っていました。

 7月27日以降、採食量の多少はあるものの動きがよく元気であったため、もう1頭の「キョウコ」(メス、推定26歳)と交代で放飼場に出る生活を続けてきましたが、嘔吐の原因を探るために8月3日から終日室内で飼育することとしました。

 モモコの症状や検査の結果などから複数の消化器系疾患が疑われ、診断と治療のためにその後ももっぱら室内で飼育しながら観察を続けています。

 しばらくのあいだ室内で過ごすことが多くなり、モモコに会うことを楽しみにしていらっしゃるみなさまにはご迷惑をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。


マレーグマ「モモコ」
(撮影日:2021年8月13日)

2.マレーグマ「キョウコ」の状況について

 キョウコも推定26歳と高齢ですが、飼育係は採食や便状、行動などを基に、総合的に心身の状態を注意深く観察しており、現在の飼育環境で元気に過ごしています。

 また、夏季の屋外での放飼についてご心配をいただいていますが、自然の中で生活している野生動物にとって、外気にふれること、日光や雨を体に浴びること、運動をすることは五感を刺激する重要な生活環境の一部です。したがって、暑い時期であっても、適度な刺激を与え、心身の健康を維持するために、可能な限り動物たちを放飼したいと考えています。

 マレーグマは熱帯・亜熱帯気候に生息しており、他の種のクマなどとくらべても比較的暑さに強い動物ですが、東京の夏の暑さも厳しくなってきています。飼育係は日頃からそれぞれの健康状態や天候をよく観察しながら放飼時間などを決めています。

 今後も、動物たちの健康を第一に飼育管理に努めてまいりますので、ご理解いただきますようお願いいたします。


マレーグマ「キョウコ」
(撮影日:2021年8月12日)

〔上野動物園飼育展示課〕

(2021年08月14日)



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