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こどもはどんな色? クロキツネザルの赤ちゃん誕生
 └─ 2021/05/19
 西園の「アイアイのすむ森」では、クロキツネザルを飼育しています。クロキツネザルは、アフリカ大陸南東部に位置するマダガスカル島北西部の熱帯低地林や山林に生息するキツネザルのなかまです。雌雄で体の色が異なり、オスは全身が黒色ですが、メスは背中が茶褐色で腹はクリーム色、アゴから耳にかけて白い房毛をもっています(写真1)。


写真1:黒色が父親「イライ」、褐色が母親「マム」、マムに掴まっているのが2021年生まれの子
(撮影日:2021年4月14日)

 上野動物園では、2016年12月に(一財)進化生物学研究所から「イライ」(オス)と「マム」(メス)が来園し、飼育が始まりました。2頭の相性はとてもよく、2018年にはメス、2019年にはオスの子どもが生まれ、育っています(子は他の施設に移動しました)。

 2021年3月23日、2年ぶりにメスの子が1頭誕生しました(写真2)。おとなは雌雄で体の色が異なりますが、子はどんな色をしているのでしょうか?

 じつは生後しばらくの間は、クロキツネザルの子は雌雄ともに母親と似た茶色っぽい色をしています。生まれてすぐの子どもは、母親の腹に腹巻きのように横向きの姿勢でしがみつくことから、母親の体の色に似ていることで子の存在が目立ちにくくなり、身を守るのに役立つためといわれています。オスは母親の体から離れ始める5~6週ごろまでに黒色に変わります。ただし、耳の房毛の色は生まれたときから雌雄で異なり、メスは白色です。

 2021年生まれの子(写真2)は、2019年生まれのオス(写真3)と比較すると、耳の房毛が白色のため、メスとわかります。

写真2:2021年生まれの子(27日齢)
(撮影日:2021年4月18日)
写真3:2019年生まれのオスの子(30日齢)
(撮影日:2019年5月20日)

 今年生まれの子は、出産初日からマムが熱心に世話をしており、授乳も確認できました。生後7日を過ぎるまで、マムは神経質になっていましたが、徐々に緊張もやわらぎ、イライが子の毛づくろいをするのも受け入れるようになりました。現在、子は生後1ヵ月を過ぎ、マムの腹から背中に移動することも増え、順調に成育しています。

 アイアイの森は新型コロナウイルス感染症対策のため、長期にわたり閉館しています。来園者のみなさまに、親子の姿をご覧いただける日を心待ちにしながら、子の成長を見守っていきたいと思います。

〔上野動物園西園飼育展示係 宇野なつみ〕

(2021年05月19日)



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