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動物慰霊祭に際して
 └─2020/09/22

 動物慰霊祭はこの1年の間に死亡した動物たちへ、「ありがとう」「おつかれさま」という感謝の気持ちを伝えるために毎年秋分の日におこなっています。

 この動物慰霊祭という行事が動物慰霊碑前で最初におこなわれた記録が残っているのは1931年(昭和6年)です。それ以来、戦争中に一時中断した年を除き、現在まで毎年おこなっています。

 多くの動物を飼育している動物園では、毎年たくさんの動物が死亡していきます。そのすべての動物たちは生前、姿や行動などを通して生き物の魅力や野生動物としての尊厳などさまざまなことを私たちに教えてくれました。また、希少動物の繁殖という大きな役割を担ってくれた個体もたくさんいます。

 さらに動物園では、死んでしまった動物たちからさまざまなデータや資料を取らせてもらいます。その成果は、未解明なことの多い野生動物についての新たな知見を提供するとともに、今後の飼育に活かされ、動物たちの未来を守るために使われます。動物たちは最後まで活躍してくれるのです。

 今回は、昨年(2019年)9月から今年8月までの1年間に死亡した動物たち146種788個体(この数には昆虫などの無脊椎動物も含みます)のなかから、おもな慰霊動物としてアジアゾウのアティやインドライオンのモハンなどをウェブ上で紹介します。

 今年は残念ながら新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から来園者の皆さんとともに動物慰霊碑前でご一緒に慰霊祭を行うことができませんが、ぜひご自宅で、動物たちとともに過ごした時間に思いを巡らせていただければと願っています。

 恩賜上野動物園
 園長 福田 豊


(2020年09月22日)


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