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ライチョウが孵化しました
 └─ 2019/07/25

 上野動物園では、絶滅危惧種であり国の特別天然記念物である日本産ライチョウが孵化しましたので、お知らせします。

 当園は公益社団法人日本動物園水族館協会の加盟園館として、環境省の取り組むライチョウ生息域外保全事業に2015年度から参加し、ライチョウの飼育に取り組んでいます。

 2016年に富山市ファミリーパークにて孵化し、2019年3月に上野動物園へ移動したオス(血統登録番号:N14)と、2017年に上野動物園で孵化したメス(血統登録番号:N27)を、今年5月1日から同居させたところ交尾が確認され、メスが産卵しました。

 産まれた卵を園内の人工孵化施設の孵卵器(卵を孵化させるために一定温度で温める装置)に収容して温めていたところ、このたび7月11日に計3羽のひなの孵化を確認しました。うち2羽は孵化後まもなく死亡しましたが、1羽は育っています。
 

孵化したライチョウ

 孵化日時 2019年7月11日(木) 22時
 孵 化 数 3羽(うち2羽死亡)
 性  別 メス
 体  重 生存したひな:17.4g(孵化直後)

孵化したライチョウのひな
(撮影日:2019年7月12日)
8日齢のひな
(撮影日:2019年7月19日)

孵化までの経過
 4月20日      当園でオスN14とメスN27の見合いを開始
 5月1日      雌雄の同居を開始
 5月6日~6月3日  複数回の交尾を確認
 6月5日~6月19日 メスが12個の卵を産卵
 6月19日      12卵のうち前半に産卵した6卵を孵卵器に収容
          (うち3卵は無精卵または中止卵のため孵化せず)
 7月5日      12卵のうち後半に産卵した6卵を孵卵器に収容
 7月11日      前半に産卵した6卵のうち3卵が孵化(うち2羽死亡)
 7月19日      後半に産卵した6卵全て無精卵もしくは中止卵であることを確認


ライチョウ保護増殖事業

 今回の孵化は、絶滅の危険がある日本産ライチョウの保護を目的とした環境省と(公社)日本動物園水族館協会が進める保護増殖事業に基づいた取組みです。
 現在、富山市ファミリーパーク(富山県)、大町山岳博物館(長野県)、那須どうぶつ王国(栃木県)、いしかわ動物園(石川県)、横浜市繁殖センター(神奈川県)と当園で成鳥を飼育し、繁殖に取り組んでいます。

今後の取組み

 孵化したひなは、孵化後2週間程度が特に体調を崩しやすいため、これまでのライチョウの孵化育雛の経験を生かし、注意深く飼育、観察していきたいと考えています。今後のひなの状況については順次、ホームページなどでご案内いたします。
 昨年までの孵化個体には、孵化後7日齢まで感染症予防のため抗生物質を投与していました。今年度の孵化個体には野生ライチョウ由来の乳酸菌の投与を実施し、抗生物質の投与を見合わせています。

(2018年07月11日)


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